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高配当も赤字転落…「リクシル」株は買い?国内・欧州の苦戦をどう挽回するのか=佐々木悠

2024年4月22日、日本最大の住宅設備メーカーであるLIXILが下方修正を発表しました。発表翌日の株価は約6%下落し、4月30日現在にかけてズルズルと株価が下がっている状態です。一方で、下方修正をしながらも減配の発表はありませんでした配当利回りは5.31%と高い水準です。今回は下方修正の内容を詳しく分析し、LIXILの現状と配当に期待して投資して良いのか?を考えていきます。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)

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プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。

LIXILは何をしている企業?

まずは、LIXILがどのような企業なのかを見てみましょう。

 

主な商材は住宅設備です。

例えば水回りの製品(シャワートイレ、ユニットバス)や金属製建材(住宅・ビル・店舗用サッシ、窓枠、玄関ドア)などです。

 

こういった多種多様な住宅設備の生産・販売・各種サービスの展開によって事業活動を行っています。

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出典:統合報告書

 

多数の商品ラインナップを取り揃えているものの、業績は芳しくありません

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出典:決算短信等より作成

 

過去最高の売上は1兆8,900億円(2016年)、営業利益は694億円(2022年)です。

2024年3月期は過去最高の実績から売上高マイナス21%の1兆8,300億円、営業利益マイナス76%の160億円です。(下方修正後)

 

つまり、中長期的に成長しているとは言えないことがわかります。

その理由は何でしょうか?この売上の推移を地域ごとに分解してみましょう。

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出典:決算短信より作成

 

上のグラフより、LIXILの主戦場は日本です。(国内売上高比率 65%)

そして日本の市場においては、新設住宅着工件数が減少し続けています。

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Screenshot

出典:コアシス

 

リクシルの商材は住宅設備ですから、住宅数が増えないことには販売先が増えていきません。したがって、LIXILの業績が伸び悩む理由として、この新設住宅着工件数の縮小の影響が大きいと考えられます。

 

この状況に対し、LIXILは様々な策を打ってきました。

  • 水回り中心だったリフォーム需要を断熱など水回り以外の需要の開拓
  • 水回り事業の海外展開
  • 水回りと金属製建材の更なる協業
  • 機動的な価格改定(値上げ)

 

しかし事業ごとの利益推移を見ても、水回り製品を提供するウォーターテクノロジーは安定しているものの、成長戦略の一つであったハウジングテクノロジーが大きな利益源になっているとは言い切れません。

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出典:決算短信より作成

 

つまり、どれも現状を打破するには至らず市場縮小の影響に抗えない状態が続いています。

 

そして、この状況の中で下方修正が発表されています

2024年3月期の当初の決算では売上1兆5,300億円、営業利益280億円の予想でしたが、下方修正によって売上1兆4,380億円(当初より3.1%マイナス)、営業利益160億円(同42%マイナス)となりました。

 

そして、最終利益は当初110億円の黒字予想だったものが、税金の支払いや連結子会社の赤字の影響もあり、140億円の最終赤字に転落しています。

では、その下方修正の内容を詳しくみていきます。

Next: 下方修正した2つの理由を深堀り…リクシル株は買いか?

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