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住友化学「4000人リストラ」の衝撃。資生堂にオムロンも…「大企業だから安心」のニッポンは終焉か

日本を代表する企業である住友化学、資生堂、オムロンが、業績悪化を背景に大規模な人員削減を発表しました。これらの動きは、各社が直面している経済的課題と市場環境の変化に対応するためのものであり、今後の企業戦略と金融市場に与える影響が注目されます。

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大手企業で続くリストラの波。住友化学は約4,000人の削減も

住友化学は2025年3月末までに連結従業員数の約10%にあたる約4,000人の削減を行うと発表しました。この大規模なリストラは、株式の過半数を保有する子会社である住友ファーマを含む、国内外の事業売却・再編・合理化を通じて実施されます。2023年3月末時点での連結従業員数は約4万人であり、これによる影響は業界全体に波及することが予想されます。特に国内での削減は、再編や撤退に関連した動きが多いと社長の岩田圭一氏が説明しました。

この人員削減計画は、住友化学の財務状況と業務効率化への取り組みを反映しています。従業員削減は一般的に短期的なコスト削減に寄与し、株価にポジティブな影響を及ぼすことが多いですが、長期的な成長戦略としては、技術革新や市場適応力の維持が鍵となるでしょう。ただし労働市場への影響も無視できず、これらの動きがどのように地域経済や関連産業に影響を及ぼすかが注目されます。

さらに資生堂では約1,500人の早期退職を募集

また、2024年2月には資生堂が国内事業に関わる従業員約1,500人の早期退職を募集すると発表。この対象は資生堂ジャパンに勤務する45歳以上で勤続年数20年以上の社員です。退職者には年齢に応じた特別加算金が退職金に加えられ、再就職支援サービスも提供される予定ですが、この早期退職募集は、資生堂ジャパンの従業員1万人の約1割にあたる規模で行われ、業績不振がその背景にあると考えられています。

資生堂の業績は2023年12月時点で、売上高が前年比8.8%減の9730億円、コア営業利益が22.4%減の398億円、営業利益が39.6%減の281億円、純利益が36.4%減の217億円となり、2年連続の減収減益です。

資生堂のグローバル事業において、中国市場は日本に次ぐ売上高25.5%を占めていましたが、中国事業の売上高は4.0%減の2479億円、コア営業利益は70億円の黒字へ。処理水放出に伴う不買運動や中国政府の規制強化など、中国リスクは増大。さらに、低価格で品質も向上している中国の化粧品メーカーによるシェアの拡大が進んでいることも影響していると考えられています。

同じくオムロンでも中国経済の影響が大きく2,000人の人員削減へ

京都市に本社を置く大手電子機器メーカー「オムロン」は、中国経済の減速による業績悪化を背景に、国内外で合計2,000人の人員削減を行うと発表。この中で国内からは従業員の1割にあたる約1,000人の希望退職を募集する方針です。このリストラは、中国の工場で使用される主力制御機器事業の業績低迷を受けた構造改革の一環とし、オムロンの辻永順太社長は、オンライン記者会見で「経営の立て直しを早期に実行しなければならない」と述べ、短期的な痛みを伴うものの、長期的にはより力強く成長する企業への変革を目指すと強調しました。

国内での人員削減は1,000人規模であり、対象者は勤続年数が3年以上かつ40歳以上の正社員です。募集期間は今年の4月から5月にかけて行われますが、一方、海外でも同様に1,000人規模の削減が計画されており、会社が希望退職を募るのは2002年以来、約22年ぶりのこと。

オムロンは今年2月、業績予想を下方修正し、最終利益が前年度から98%減少して15億円にとどまるとの見通しを示しています。この業績悪化は、特に中国市場での需要低迷が主な原因とされていますが、全体的なグローバル市場の変動や競争激化も影響していると見られます。これに対し、オムロンは短期的なコスト削減とともに、事業構造の見直しや戦略的な市場再配置を進め、中長期的な企業価値の向上を図ることを目標としました。

これら大企業の大規模なリストラと業績低迷の報告は、金融市場において注目される動きの一つで、企業の経営戦略の変更は株価や市場評価に直接的な影響を及ぼすため、詳細な分析と見極めが求められます。これらの企業の経営改革や成長戦略がどのように展開されるかは、投資判断の重要な要素となります。経営の透明性と戦略的な対応が、投資家の信頼と企業評価を左右することになるでしょう。

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