1929年の大恐慌前。市場崩壊前の米国の実体経済は冷え込むなか、株価はその時点での最高値を付けていた。現在好調な米国株と比較すると、いまはどの時点なのか。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)
※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2019年2月6日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
暴落直前の2019年8月から年末までの出来事と株価
借金して博打:1929年大恐慌
1929年の米国株式市場崩壊前の米国の実体経済は、夏には工業生産は既に落ち込み、失業率は増え、給与所得も低く、消費者の債務は増加。そして農産物価格は下落。銀行は自己資本比率が低いのに貸し出しを増やしていた。
※現在と比較しながらお読み下さい。
さて、上記の大恐慌時代のダウ平均チャートを参照下さい。1924年から1932年の8年半の期間です。
ビットコインのバブル、他の色々なバブルと同様に、上昇期の前半の上昇はユックリと始まり、後半は急角度の上昇、しかし上下の変動は小幅。そして下落期前半は大人数が一斉に逃げ出す為に急降下となり、同時に大幅変動を伴いますが、後半は少数になった生存者の脱出ゆえに降下角度が減り、その上下変動も小幅に変化していきます。
<1929年8月に株価は、その時点での最高値を付けた>
その直前の7月13日にはコール・マネー(短期借金)金利が12%から7%に下がり、株価は全般的に上昇。7月の下旬まで不安定な動き、激しい売りが繰り返され、大口筋の大損との噂がたった。
7月のブローカーズ・ローン金額が最高レベルとなった。株価は上昇を続けると言う思惑買いの傾向が8月になっても続いた。
<8月8日、NY準備銀行が金利を6%に引上げたと言う情報で株価は大幅下落>
8月20日には全般に強い勢いで株価が上昇。
8月27日、天才相場師と呼ばれたジェシー・リバモアは強気に転じ、25万ドル相当の株を買った。彼はこの後、空売り、底値買いを繰り返して、大金を生むことになる。
WSJ紙は「株価上昇の大勢は再び定着。今秋の見通しは非常に明るい」と書きたてた。
9月3日ダウ平均株価は、381となり青天井の様相を示した。
翌9月4日、イングランド銀行の最高幹部が「米国のバブルがはじけたとの見解を示した」と言う噂が入った。
9月5日、リバモアは30万ドル相当の株を空売り。
<新聞各紙はMITのロジャー・バブソン経済教授の講演を紹介>
それに対抗してエール大学のアービング・フィッシャー教授は、ヘラルド・トリビューン紙で「バブソンへの反撃を開始暴落の可能性はゼロである」と声明を発表したのだ。
この弱気筋のバブソン対強気一辺倒のフィッシャーの論戦は、数年前からの遺恨試合で、その後も続いた。