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訪日外国人増加で好調「ANA・JAL」株は今からでも買いか?長期投資家が注意すべき5つのポイント=佐々木悠

今、訪日外国人が大量に押し寄せてきています。ということは、ANAやJALなどの航空株はチャンスではないか?という期待が高まります。 今回は最新決算を分析し、投資する際の5つのポイントを解説します。注意点はないのか?コロナ前から何が変わったのか?本当に今から投資して良いのか?……こういった疑問を考えていきます。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)

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プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。

ANA コロナ前を上回り好調

まずはANAの最新決算を分析します。

最新の24年3月期第3四半期累計の売上高は1兆5,400億円(2019年第3四半期比+3.3%)、営業利益は2,100億円(同+31%)です。第3四半期累計の営業利益が、過去最高を達成しています。絶好調と言えるでしょう。

 

第2四半期時点では見送っていた上方修正も発表されました。

P&Wが開発するエンジンに関して、品質の懸念が出ている悪影響がありましたが、それ以上に航空需要増加の好影響がありました(しかし株価は大きく反応はせず、折り込み済みだったようです)。

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出典:24年3月期第3四半期 決算会説明資料

特に目立つのは、コロナ前に比べて利益率が大幅に改善していることです。

2019年の通期営業利益率は8.0%であるのに対し、2024年3月期第3四半期累計時点の営業利益率は13.6%です。これは、コロナ禍に大型機材の早期退役させるなど固定費を削減した結果です。このようにエネルギー価格の上昇などの悪影響がありながらも、コストカットを実現できています。その中で航空需要が回復したことで、現在の好調がもたらされています。

総じてコロナ禍を乗り越え、回復・成長途上にある状態に見えます。

JAL 利益はコロナ前以下だが、想定よりも好調

次にJALの決算を分析します。

最新の24年3月期第3四半期累計の売上高は1兆2,493億円(同+10%)、営業利益は1,289億円(同▲13%)です。利益はコロナ前に届いていません。

しかし、24年3月期の通期税引前利益予想は1,300億円ですから、すでに通期予想をほぼ達成している決算となっています。そして、この予想は2Q時点で上方修正を行ったものです。

通期予想を早期に達成できた理由は、国内線・国際線の両方の旅客需要が、想定よりも回復したことにあります。24年3月期は残り2ヶ月ですが、順調な様子がわかります。

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出典:24年3月期第三四半期 決算説明資料

気になる点は、24年1月1日に発生した海上保安庁機との衝突事故の影響ですが、営業費用が150億円増加、羽田空港C滑走路閉鎖に伴う減収は約20億円とされています。特に衝突事故に関する損害は、航空保険が適用される見込みのようです。まとめると、衝突事故が業績に与える影響は限定的と言えるでしょう。

 

ANAもJALも目先の業績は、好調です。

特にANAはコストカットを実現し、勢いがある印象です。(JALは一度経営破綻していることから、コストカットできるものが少ないのかもしれません)

 

では、この決算を受けてANA、JALに投資する上で注意点はないのか?

5つのポイントを解説します。

Next: 航空株は買いか?投資したい人へ向けて5つの注意点を解説

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