ポイント1:インバウンドが増加する?
さらに業績が拡大する余地があるとすれば、訪日外国人の増加です。
日本政府観光局(JNTO)の調査によると2023年の訪日外国人の人数は2,506万人です。2019年比較で8割程度の戻りですが、2022年が282万人だったことを踏まえると、急回復しています。
出典:日本政府観光局(JNTO)より作成
では誰が日本に来ているのでしょうか?訪日外国人の内訳を見てみましょう。
出典:日本政府観光局(JNTO)より作成
韓国からの訪日者が増えています。これは日韓関係の安定化や、円安の影響と言われています。一方で、ここからの上昇可能性となるのが、中国人観光客の回復です。意外にも、コロナ禍から75%ほど下落したままなのです。
中国人観光客が戻らない理由は、中国政府が日本行きの海外旅行商品の販売禁止措置をしていることや、帰国時の入国制限を継続している影響です。中国政府の「ゼロコロナ政策」の名残とも言えます。(台湾情勢も踏まえ日本・米国向けの渡航に慎重な中国政府の考えもあるようです)
この各種規制がどこまで続くかがポイントになりそうです。中国政府の動向によっては、もう一段階観光客が増加する可能性があるでしょう。
ポイント2:25年3月期の決算はどうなる?
では、24年3月期のその先、25年3月期はどのようになるのでしょうか?
近年の営業利益の実績と予想を見てみましょう。
ANAの過去最高の営業利益は2019年の1,650億円ですから、今期・来期ともに過去最高を達成する見込みです。一方でJALは2016年の2,090億円が過去最高です。
2016年と2019年の両社の決算から、航空業界が利益を出せる要因を考えてみます。
- 国内や米国の景気が悪化していないこと
- 訪日客数が増加していること
- 円安傾向が継続すること
- 燃料コストの大幅な増加がないこと
これらは2024年現在の状況と似ている部分があります。
元々、航空業界は景気変動など外部環境の影響を大きく受ける業界です。当然ですが、ANAやJALがここから成長していくためには、人々の移動を妨げるようなネガティブ要因が少ないことが大切です。
来期以降は、先に述べた中国人観光客回復の期待もあります。こういった要因が組み合わさることで、更なる成長期待ができるでしょう。