次世代半導体の国産化を目指すラピダスに注目が集まっている。いわゆる「ラピダス効果」は様々な業種、企業に及んでいくものと思われ、今のうちから関連企業の収益状況と株価の行方に対する中長期的な期待が高まろうとしている。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎)
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プロフィール:田嶋智太郎(たじま ともたろう)
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。
波及する「ラピダス効果」
先週10日、オランダの半導体製造装置大手ASMLがJR千歳駅直結のビル内に拠点を開設した。次世代半導体の国産化を目指し、同市内に工場を建設中のラピダスに協力し、ASMLが世界で唯一製造している極端紫外線(EUV)露光装置の導入や保守点検を担うという。
ラピダスは27年中に最先端となる回路線幅2ナノメートル(ナノは10億分の1)の半導体の量産を目指すとしており、そのためにはEUV露光装置とそれを安定的に稼働させるためのサポートが欠かせない。その意味で、今回の拠点開設は国産の2ナノ品製造を実現するための重要なステップとして大いに注目できると思われる。
ラピダスの新工場は昨年9月に着工し、目下は急ピッチで建設が進められている。来年4月には試作ラインを稼働させる計画で、北海道千歳市内には約30の半導体関連企業がオフィスを設ける見通し。それに合わせてオフィスビルやホテル、賃貸マンションなどの建設も活発化しており、このほど千歳市は人口10万人の達成時期を従来想定より2年前倒しして29年とする案をまとめている。
いわゆる「ラピダス効果」は様々な業種、企業に及んでいくものと思われ、今のうちから関連企業の収益状況と株価の行方に対する中長期的な期待が高まろうとしている。
ロゴスホールディングス<205A>
今年7月、東証グロース市場に上場。同社グループは住宅・不動産に関連する事業を北海道・東北・北関東エリアにて展開しており、2023年の札幌市の住宅建築確認申請数No.1という実績を誇る。
ラピダス工場進出の千歳市でも宅地造成を活発に行なっており、25年夏に大規模分譲地が完成予定。なお、同社のMCB工法(工場でつくってトラックで運んで現場で建てる方法)は特許出願中である。
25年5月期は、売上高が前期比17.2%増の371.6億円、営業利益は同51.6%増の21億円、純利益は同50.3%増の13.3億円と過去最高を見込んでいる。
株価は、7月下旬に3,400円の上場来高値をつけてから、8月上旬には一時2,040円まで下落。切り返して足元は3,000円近辺まで値を戻している。足元の予想PER=8.5倍、予想配当利回りは4.7%程度と魅力の水準にあると言える。