メルマガ『週刊 Life is beautiful』の著者であり、元マイクロソフトで「Windows 95の父」として知られる中島聡氏が、投資の本を出版した。その名も『メタトレンド投資』。エンジニアとして培った先見性と、投資家としての経験を融合させた本書は、従来の投資本とは一線を画す内容だ。なぜ今、中島氏は投資について語るのか。そして、彼が見据える「10年先の未来」とは――。
「意外と10年先にこうなるっていうのは見えているにもかかわらず、それはプロの投資家でさえ織り込めていない」。こう語る中島氏。その言葉の真意と、彼が提唱する「メタトレンド投資」の本質に迫るべく、インタビューを敢行した。
※このインタビューはYouTubeでも視聴できます。
『メタトレンド投資』
著：中島聡／刊：徳間書店
なぜ今、投資の本を？
――中島さんと言えば、エンジニアのイメージが強いですが、なぜ今回投資の本を出版されたのでしょうか？
中島：正直なところ、出版社の方に押されてという感じです（笑）。私が週刊のメルマガで時々NVIDIAの株を買っているとか、テスラを長期保有しているといった話を書いていたので、その背景にある投資のポリシーについて書いてみないかと言われたんです。
最初は断ろうと思ったんですが、考えてみると私の投資手法って、エンジニアとしての経験や視点が大きく影響しているんですよね。それを体系的にまとめることで、多くの人の役に立つのではないかと思い直して、執筆を決意しました。
「メタトレンド投資」とは何か？
――本のタイトルにもなっている「メタトレンド投資」とは、どのような投資手法なのでしょうか？
中島：簡単に言えば、世の中の大きな流れを見極めて投資する手法です。従来の投資手法では、財務諸表をベースにしたファンダメンタル分析や、株価の動きを見るテクニカル分析が主流です。でも、これらの手法ではプロの投資家でも2年先ぐらいしか見通せないんです。
それに対して「メタトレンド投資」は、5年後、10年後の世界がどうなっているかを予測し、そこから逆算して今投資すべき企業を見極める手法です。例えば、「スマートフォンの時代が来る」とか「AIが社会を変える」といった大きなトレンドを捉えるんです。
――具体的には、どのように実践するのでしょうか？
中島：私の場合、自分の消費行動と投資先を一致させることが多いんです。例えば、AppleのiPhoneを買ったらAppleの株も買う。テスラの車を購入したら、同時にテスラの株も買うといった具合です。
これは単なる「推し活」ではありません。製品やサービスを実際に使ってみて、「これは10年後の世界を変える可能性がある」と感じたら投資するんです。プロの投資家が見逃しがちな、長期的な可能性を見出すことができるんです。
次の「Tesla」「NVIDIA」は何か？
――中島さんと言えば、NVIDIAの株を早い段階で購入されたことで有名ですが、次のNVIDIAと言えるような企業はありますか？
中島：絶対とは言えませんが、私がいま注目しているのは「人型ロボット」の分野です。特に、家庭用の人型ロボットが今後10年から20年の間に大きく普及すると確信しています。
2007年にiPhoneが登場したとき、私は「すべての人がスマートフォンを持つようになる」と確信しました。いま、人型ロボットに対して同じくらい強い確信を持っています。掃除・洗濯・介護・料理・子育てなど、あらゆる家事をこなす人型ロボットが各家庭に1台あるような世界が来ると思うんです。
これはAIの進化が大きく影響しています。AIが「頭脳」となり、既存のロボット技術と組み合わさることで、人間の仕事を代替できるレベルに達するでしょう。
私のメルマガでは、こういった最新の技術トレンドや注目企業について、随時情報を発信しています。読者の方々からの質問に答えるコーナーもあり、そこでより具体的な投資のアイデアについても触れています。
まとめ：10年先を見据えた投資の可能性
中島氏の語る「メタトレンド投資」は、単なる投資手法ではない。それは、技術の進化と社会の変化を見据えた、未来への洞察力を磨く方法でもある。本書『メタトレンド投資』では、こうした中島氏の思考プロセスや具体的な投資事例がより詳しく解説されている。
また、中島氏のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では、本書では語りきれなかった最新の技術動向や投資アイデアが週刊で配信されている。初月は無料で購読できるので、本書と合わせて読むことで、より深い洞察を得ることができるだろう。
今回のインタビューの詳細や、書籍では語られていない中島氏の最新の見解については、以下の動画でさらに詳しく語られている。ぜひチェックしてみてほしい。
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