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高市政権の物価高対策が早くも行き詰まり、補助金頼みの値上げ抑制は1年後に効果ゼロへ崩れ落ちる=斎藤満

高市政権の物価高対策が限界に直面しつつあります。ガソリン補助金などで抑え込んだ物価も、補助金の効果が剥落し始め、9月のコアCPIは2.1%まで再上昇しました。同じ支援を続けるだけでは1年後に押し下げ効果が消え、維持するには支援規模の倍増が必要になります。一方で政権は需要超過の経済で積極財政を続けており、政策の矛盾も指摘されています。メルマガ『 マンさんの経済あらかると マンさんの経済あらかると 』では、著者の斎藤満さんが、場当たり的な対策の限界と、インフレ抑制に向けた政策の組み合わせについて解説しています。

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2026年10月28日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

場当たり的物価高対策の限界

高市政権の物価高対策が限界に直面しようとしています。エネルギー価格高騰によるガソリン代や電気代を抑えるべく、税金を使って企業に補助金を出し、値上げを抑制するやり方が壁に突き当たりつつあります。この先も物価を抑えるには、これまで以上に多額の税金を投入して価格を抑えるか、根本的にインフレ抑制策を採るか、選択を迫られています。

「物価高対策の下でもまたじり高に」

高市政権は物価高対策を前面に打ち出していますが、その効果が尻すぼみになっています。電気ガス代の補助に加えてガソリン補助金で1リットル当たり170円に抑制することとしたため、今年4月、5月には生鮮食品を除く「コア」の消費者物価が前年比1.4%まで低下しました。

政府はG7の中で日本の実質賃金が最も高い伸びと言い、ガソリン価格は主要国の中で最も安いと自慢しています。しかしこれも、国民の税金を使って企業に補助金を出し、その分価格を抑える「場当たり的」な対応です。しかもこれを続けるには、企業への補助金を毎年倍増させる必要があり、予算が尽きればこれも終わります。いわば「金の切れ目が縁の切れ目」となります。

その点、高市総理は23日の会見で、ガソリンや灯油などへの支援はあくまで「激変緩和措置」の一環で、今後は財政負担への懸念から、段階的な見直し、出口戦略も含めて支援のあり方について見直すよう、経済産業大臣、財務大臣に指示したといいます。ガソリン価格への補助金は10月22日以降、1リットル当たり42.8円になりました。近所のGSではレギュラー・ガソリンの価格が175円に上がっています。

実際、総務省の消費者物価統計をみても、「コア」の物価上昇率は春の1.4%から9月は2.1%にまで高まっています。同じ額の補助金を1年続けると、1年後には前年比での物価押し下げ効果がなくなり、突然上昇率が上がります。上げないためには補助金を2倍にしてガソリン価格をさらに下げなければなりません。しかし、政府の姿勢は逆に段階的に支援を減らそうとしているので、その分物価上昇率は高まります。

総務省の試算によると、9月のエネルギー価格支援策の物価押し下げ効果は0.82%といいます。このうち、今年の支援策による引き下げ効果は1.26%なのですが、前年の支援分の剥落分が0.44%あるためです。今と同等の支援を続けると、1年後には1.26%分が剥落するので、同じ対策を続けているだけでは物価抑制効果はなくなります。1年後以降も引き下げ効果を維持するには、支援規模を2倍にする追加支援策が必要になります。

すでにトランプ政権から積極財政についても批判の声が上がっていて、これを無視できなくなっています。今後企業への補助金を整理して行けば、物価の抑制効果も小さくなり、物価はじり高となります。9月のコアのCPI上昇率は2.1%ですが、政府のエネルギー支援策の効果0.82%がなければ、物価は2.92%の上昇となります。

Next: 「リフレ策は不要」

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