今回はソフトバンクグループについてです。ついに株価が上昇してきましたが、その背景にはかつて3.3兆円で買収したARMが、2023年9月に上場したことがあります。今からでもソフトバンクグループの株を買いたいという人も多いかと思いますが、そもそもソフトバンクは長期投資に適した銘柄なのでしょうか。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
子会社「ARM」の急伸
日経平均株価は3万8,000円を超え、史上最高値に迫る勢いです。
直近の上昇の大きな担い手になっているのがソフトバンクグループ<9984>です。
日経平均の構成比率が、ソフトバンクは3.6%と4番目に大きい割合を占めていて、ソフトバンクの株価上昇が日経平均の上昇に寄与することとなります。
【日経平均株価は“偏った”指数】
日経平均株価は少数の銘柄で大部分を占めていて、必ずしも日本株全体を表すものではありません。
「日経平均はこんなに上がっているのに自分のポートフォリオは全然上がらない」ということは往々にしてあります。
なぜ直近で日経平均が上がっているかというと、東京エレクトロン<8035>やアドバンテスト<6857>などの半導体関連の銘柄が大きく上昇しているからですが、ソフトバンクグループの株価が上昇しているのは、子会社のARMホールディングスの上昇によるものです。
ARMは、2016年にソフトバンクグループが3.3兆円もかけて購入したイギリスの会社です。
最近まではNVIDIAに売却する話がありましたが、当局の規制により頓挫し、仕方なくわずかな株を手放して上場させました。
株式の9割以上をソフトバンクグループが持っている状態です。
そんな中でARMの株価が大きく上昇しています。
アメリカにはストップ高が無く、上がる時にはとことん上がります。
株式の9割以上を持つ子会社の株価が上がると当然、ソフトバンクグループの株価も上がることになります。
半導体の中でも特にAIが注目されていますが、ARMがAIに注力するということがソフトバンクの決算説明会でアメリカにも知れ渡り、一気に上昇したものと見られます。
ソフトバンクが9割以上持っていて市場にほとんど出回らないので、買いたい人は高値でも買うところがあります。
さすがに上がり方が急すぎるようにも見えますが、ARMが長期的に成長してきたことも確かで、今後も成長を続ける可能性もあります。