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2025年に株価が上がる銘柄はこう探せ!2024年の値上がりランキングから見えた投資戦略=栫井駿介

株価が上昇する良い銘柄を見つけたい…これは誰しもが思うことでしょう。しかし、闇雲に探したところで見つかるわけでもなく、何か手がかりが欲しいところ。そういう意味では、昨年の上昇ランキングが参考になるのではないかと思い、今回は2024年の株価上昇ランキングを元に、上がる銘柄はどのようなものなのかということと、それらの銘柄から得られる株価上昇のための法則を探ってみたいと思います。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

2024年、何が伸びた?

日経新聞に掲載されていた、2024年の東証プライムの値上がり率ランキングを元に考えます。

1位はフジクラで、同じ“電線御三家”と呼ばれる古河電工は5位となっていて、近しい企業がランクインしています。(住友電工はランキング外)

次に目を引くのが、IHI(3位)や三菱重工(10位)、川崎重工(19位)といった防衛関連で、日本の防衛費が上がったことでランクインしています。

特徴的だったのは、7位にアシックス、20位にミズノが入っています。

テーマとしてどれほど注目されていたかは分かりませんが、サンリオ(6位)やラウンドワン(18位)、DeNA(21位)よいったエンターテインメント系が入っています。

 

これを見ると、1年という期間では、何らかのテーマ・特徴を持った企業群が上がりやすいということが分かります。

 

一方で私が常々言っているのは、テーマに惑わされてはいけないということです。

テーマが話題になる時というのは既にピークだったりもしますし、そもそもそのテーマ自体がそこまで大したことないということも珍しくありません。

 

良いテーマとそうではないものを見極めるためには、きちんと一つ一つのテーマの中身を調べる必要があります。

改めて2024年の上昇ランキングを見ると、テーマと市場の拡大が結びついている銘柄が上がっていると感じられます。

データセンター

例えば1位のフジクラは、データセンターの建設が特にアメリカを中心に盛り上がっています。

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グラフでは年率6.8%伸びるとなっていますが、ニュース等ではこれ以上に伸びるという話もあります。
なぜこの話の確度が高いかというと、AIの拡大という裏付けがあるからです。
クラウドを通じてAIを動かしていますが、そのクラウドの実体というものがサーバーであり、データセンターです。
AI関係で最も話題になりやすいのがNVIDIAですが、NVIDIAの半導体(GPU)を設置しているのがデータセンターです。

フジクラはデータセンターで使用される光ファイバーとその関連機器を作っていて、世界シェアの高い製品もあります。
需要の拡大によって業績を伸ばすことができました。

同業界の古河電工にも同様のことが言えます。

“電線御三家”と呼ばれていますが、電線自体が伸びているわけではなく、データセンターに使われる光ファイバーを中心に伸びています。
住友電工は自動車に使われるハーネス等に強みがある会社なので、今回のデータセンターの需要増とはあまり関係がなく、ランキング外となりました。

大事なことは、このデータセンターの伸びがどれほど確かなものなのかを考えることです。
AI→AIを動かす半導体→半導体が使われるサーバー→サーバーを設置するデータセンターというように考えていくと、データセンターが伸びるだろうということはかなり確からしく考えられます。

 

こうやって考えることで、市場で単に話題になっているテーマというものが、実体経済と結びついた確かなものかどうかということを見極められるのではないかと思います。

簡単ではないですがやってみる価値はあるでしょう。

防衛

もう一つ分かりやすいテーマとしてあったのが防衛関連です。
三菱重工や川崎重工の株価が伸びました。
これは非常にシンプルで、岸田政権の時に、それまではGDPの1%としていた防衛予算を2%にするというニュースが流れました。

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1%増という数字は小さいですが、単純に2倍です。
同時に、日本で防衛関連の設備を作っている企業は非常に限られていて、三菱重工、川崎重工、IHIくらいです。
防衛費が2倍になるということは、これらの企業の防衛関連の売上が2倍になると考えられるわけです。

防衛に関しては、2倍になってすぐ3倍になるということはなかなか無く、限界はあります。

 

逆に、話題にはなっていても市場はそこまで伸びないのではないかと私が思っているのはペロブスカイト太陽電池です。
話題にはなっているし、技術としては面白いのかもしれませんが、どこかの企業が独占的に技術を持っているわけではなさそうですし、市場が拡大していくかというと疑問があります。
テーマとしての有効性は低いように感じます。

 

全くのゼロのところからテーマを探すのは難しいですが、話題になり始めた時に、本当にこのテーマはアリなのかナシなのかということは判断できるかもしれないので、それを意識して日頃のニュースや身の回りで起きていることを見ていくと大きなヒントが得られるかもしれません。

Next: まだある株価が上昇したテーマ……どんな法則があった?

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