かつて「一億総中流」と呼ばれた日本は、いまや着実に資産格差が広がる社会へと変化しています。上位10%が資産の6割を保有する現実を、具体的な数字でひも解くと、その差は想像以上に大きいものです。さらに今後は、株式投資の複利効果や教育への再投資によって、格差は一段と拡大していく可能性が高いと考えられます。本稿では、日本の資産格差の現状とその構造、そして今後の見通しについて整理します。(『一緒に歩もう!小富豪への道』田中徹郎)
株式会社銀座なみきFP事務所代表、ファイナンシャルプランナー、認定テクニカルアナリスト。1961年神戸生まれ。神戸大学経営学部卒業後、三洋電機入社。本社財務部勤務を経て、1990年ソニー入社。主にマーケティング畑を歩む。2004年に同社退社後、ソニー生命を経て独立。
「一億総中流社会」は消滅した
もう50年ほども前でしたでしょうか、日本は「一億総中流社会」などと言われたものです。
それが、今では「格差社会」などと言われるようになってしまいました。
主要国のなかで日本は格差は小さいほうではありますが、この50年の間にじわじわと進んでいるのは間違いありません。
現在の日本の世帯別純資産をみると「上位10%が全世帯の60%の資産を保有」ですから、これは結構な格差です。
上記の様に上位10%が60%の資産を持つならば、残り90%が保有する資産は40%にすぎません。
ピンこないので以下のような具体例で考えてみましょう。
・家計が持つ資産の総額が2,000兆円
・日本の総人口が1億人
…とする。この場合、以下になります。
・上位10%の富裕層が持つ資産は、1人当たり1.2億円
(2,000兆円 × 60%)÷ 1,000万人 = 1.2億円
一方で、残り90%の人がそれ以外の資産(上記では800兆円)を持つとすれば、どうでしょう?
この場合、それ以外の90%に人が持つ資産の平均額は、以下になります。
(2,000兆円 × 40%)÷ 9,000万人 ≒ 900万円
つまり、
・上位10%が保有する資産の平均値:1.2億円
・それ以外(90%)が保有する資産の平均値:900万円
となり、その比率はだいたい13対1です。
実際にこの50年を見ても、日本の「資産ジニ係数(※)」は拡大していますので、おそらく上記の値(13対1)もこの50年で随分と拡大していると思います。
(※筆者注:保有資産の差を計る指標で0から1の値をとります、全員の資産が同額ならジニ係数は0、1人が全部を持つなら1です。資産ジニ係数は1970年代が0.5あたりでしたが、現在は0.6あたりまで上がっています。)
では、今後この「格差拡大問題は」どうなるのでしょう。
止まらぬ「格差拡大」2つの根拠
結論から言えば、資産格差はもっと広がっていくと思います。
理由の1つ目は、「株式投資の浸透」です。株式投資には複利効果がありますが、これは元手が大きいほど収益額(※)の差は広がるということを意味しています。
(※筆者注:「収益率」は同じですが、元手が大きいほど「収益額」の差は広がります。)
たとえば、
・元手が100万円のAさん
・元手が1,000万円のBさん
の2人がいて、いずれも年率6%で30年間運用すればどうでしょう。
この場合、30年後の資産額は以下になります。
・Aさん ⇒ 574万円
・Bさん ⇒ 5,740万円
このように率は5.74倍で同じですが、元手が大きい分、資産額の差は、
・現在:90万円
・30年後:5,166万円
と開きますし、これがそのまま資産額の差になり格差は拡大します。おそらく、これと同じようなことが実際に起きるでしょう。
僕がこれからもっと格差が広がると考える理由の2つ目は、「資産の再投資効果」です。別な表現をすれば本人や子供に対する良質な教育の提供です。
できるだけ平等に勉強の機会が持てるのは大切ですが、教育にはおカネがかかり、残念ながら実際にはそのようになっていません。
富裕層ほど教育への支出を増やすという現実を踏まえると、おカネもちはよりおカネを増やすでしょう。
上記の2点を踏まえると、日本はもっと資産格差が広がっていくと考えるのが自然です。
決して好ましいことではありませんが、その現実を出発点として投資というものに取り組む必要があると僕は思います。
『一緒に歩もう!小富豪への道』(2026年3月19号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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