NAVと時価総額
結局のところ今のソフトバンクグループの株価はどうなのでしょうか。
ソフトバンクグループがしきりに強調しているのが「NAV」です。
NAV(Net Asset Value)とはソフトバンクグループが保有している株の時価総額とソフトバンクグループの時価総額を比べたものです。
ソフトバンクグループという箱があって、その箱の中にいくらの株が入っているか、というものがNAVです。
箱の中には19.2兆円(現在は25兆円ほど)の株が入っていて、その箱が9.2兆円(現在は10兆円ほど)でしか評価されていないと言っています。
理屈としては確かなのですが、鵜呑みにできない部分もあって、2020年頃を見ると、コロナ後の成長株ブームで、NAVも株価も上がっていますが、その後下がっています。
上がっている時には株価はNAVに届きませんでしたが、その時の株価よりもNAVは下がっているので、結果としては株価の方が価値としては正しかったのではないかとも考えられます。
ソフトバンクグループは投資会社となっているので、「期間損益」に意味は無く、保有する株の価値が重要となります。
株式投資の世界では、株価や業績の変動が大きい銘柄は、適正な評価を受けにくい部分があります。
変動が大きいなら少しでも高い時に手放したいという心理的要因で株価が割り引かれてしまうからです。
投資会社は変動が大きくなってしまうので、割り引かれて評価されるものですが、バフェットのバークシャー・ハサウェイは例外で、「バフェットプレミアム」と呼ばれる、保有する株式よりも高く評価されている状況です。
それほど安定性に信頼があることであり、投資家は安定を求めるものということでもあります。
ソフトバンクに投資できる?
今のソフトバンクグループの経営を見る限りでは、NAVと株価の差は埋まらないだろうと思われますが、ソフトバンクの株価が上がらないというわけではなく、孫さんが賭けに成功したら大きく上がるでしょうし、その孫さんの賭けに乗る価値はあると思います。
ソフトバンクグループは一般的に長期投資にはあまり向いていない銘柄でありますが、孫さんの未来に賭けて投資するという選択もあり得るかと思います。
今、ソフトバンクの株価は上がっていますが、投資の判断に株価はあまり関係が無く、孫さんに乗るかどうかということが重要となります。
ARMの株価が上がっているので、NAVが大きく上がり、ソフトバンクも上がってはいるもののまだまだ割引状態は続いています。
孫さんに乗るのであれば、今からでも投資できる株価です。
過去のNAVの大幅下落を経て、以前よりは安定感が増したように個人的には感じています。
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『
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
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』(2024年2月19日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。
