ソフトバンクグループが第1四半期の決算を発表、なんと3.2兆円もの最終赤字を記録しました。この赤字、ある意味予想できたものかなと思います。ソフトバンクグループは、今や「投資会社」になっています。その投資のやり方が、素人がやってるんじゃないかというぐらい杜撰なものです。それは、投資の神様と言われるバフェットの投資法と対比することによって、より鮮明になります。今日はこのソフトバンクグループの運用が、いかに素人的なものなのかということを詳しく解説したいと思います。 (『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介
プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
第1四半期で3.2兆円の赤字
まずソフトバンクグループの赤字ですが、第1四半期3兆1,627億円の赤字で、前四半期も2.1兆円もの赤字を記録していましたから、合わせて5兆円もの赤字になるわけです。
ただ、ソフトバンクグループの赤字は、かなり特徴があります。
3兆円の赤字を記録する前には、20年度の第4四半期には2兆円の黒字を記録するぐらい、一時は調子が良かったこともあります。
なぜこんなにアップダウンを繰り返すのかというと、ソフトバンクが投資会社だからです。
国際会計基準によると、持っている投資証券の株価が上がった下がったというのが、すぐさま損益計算書に反映されて、株価が減った分は途端に丸ごと赤字になってしまうのです。
ゆえに株価が上がってるときは当然、大きく黒字になりやすいですし、逆に株価が下がっているときは赤字になりやすいという環境があるわけです。
そんな中で、今アメリカ中心に株価が下がっています。特にソフトバンクが投資しているようなハイテク企業が厳しい状況です。それによって、このわずか四半期3ヶ月で3.2兆円もの赤字を記録してしまったということになってくるわけです。
先程、私はソフトバンクグループは投資会社と言いました。実は、携帯会社のソフトバンク(ソフトバンクKKと言います)は、いま別で上場しています。そちらは安定した業績を残しているのです。
赤字の原因はビジョンファンド
ところが、ソフトバンクグループという持ち株会社のメインとして据えているビジョンファンドが振るわない。持っている株が下がってしまったということで損失を計上しているわけです。
このビジョンファンドにどういうものがあるかというと、上場株だと、ウーバーとかアリババとか、そういったところに投資しているわけです。
一方で、多くの400社以上の未上場株にも投資しています。この未上場株というのがAIなどIT関連の企業に投資している。
まさにソフトバンクグループ、IT革命を起こすということを社是として掲げていますから、それを投資の分野で実践しようとしているわけなのです。
ところがこのITというのが、高成長を期待されて、非常に株価が上がっていた。あるいは(未上場企業のバリエーションというんですけれども)未上場企業の評価というのも非常に上がっていた。
これをユニコーンと言ったりするんですが、それが高い評価をされたおかげで、一時3.6兆円という一時的な利益が上がっていたのです。