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トヨタにとって日野自動車は用済み?除名処分は「いすゞ・日野」経営統合への布石か=栫井駿介

排ガス不正問題に揺れる日野自動車とその親会社であるトヨタ自動車の動き、そしてライバルのいすゞについて解説します。この業界は、いま非常に大きな変革期にあると考えています。今回のニュースを理解することで、これからの自動車業界の動きを捉えることができます。ビジネスや投資に興味のある方は、ぜひご覧になっていただければと思います。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

「排ガス不正」日野自動車を除名処分

トヨタ・スズキ・ダイハツ・いすゞ・日野自動車の5社による共同出資会社「コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ)から、日野自動車が除名されたとの報道がありました。
※参考:日野自動車を“勘当”、トヨタなどの共同出資会社で処分 – レスポンス(2022年8月25日配信)

上記参考記事の「勘当」というのが、ものすごく衝撃的な事件だということを表しています。

日野自動車が何をしたのかというと、排ガス不正です。排ガスを基準より低くごまかして提出していたのです。

そのことにより国土交通省から処分を受けて、日野自動車が売れるトラックは、現時点で1台もない。新しいトラックがまったく売れなくなってしまったという状況になったのです。

これに激怒したのがトヨタです。

トヨタといえば、日野の株式を50%超を保有する親会社です。

この排ガス不正の問題というのは、過去にも取り沙汰されています。例えば、フォルクスワーゲンが排ガス不正をやらかして、7年ぐらい前に結構問題になりました。

しかし日野自動車の問題は(問題自体は似たようなものなんですが)現在の2022年に至るまで(排ガス不正を)放置していた、続けていたということに大きな問題があります。

これに、親会社としてトヨタは激怒したわけです。問題が発覚してから、株価はガクンと落ちて低迷しています。

 

処分で漁夫の利を得る「いすゞ自動車」

今回のトヨタが「除名」したのが、元々は商用車連合と言ってトラックやバスなどを作る日本のメーカーを集めた組織です。

商用車連合にはトヨタが60%を出資して、その他はトヨタグループである日野自動車、そして日野自動車のライバルのいすゞ自動車。さらには同じようにトヨタと関連性の深いスズキ・ダイハツが入っていました。

その中から日野を除名処分にしてしまうという、なんとも厳しい話になっているわけです。そこで漁夫の利を得るのが、いすゞ自動車ということになるのです。

先ほど申し上げました通り、日野は今、新しいトラックを販売できないというような状況に陥ってます。

となると、どうしてもトラックが欲しいという場合、いすゞのトラックを買うというのが、最も有力な選択肢となるわけです。

 

株価と業績は対照的!いすゞは上昇、日野は下落

<いすゞ自動車の株価>

いすゞ自動車<7202> 月足(SBI証券提供)

いすゞ自動車<7202> 月足(SBI証券提供)

これを受けて、いすゞの株価上昇していまして、年初来で26%の上昇。足元でもグイグイ上昇しているわけです。

実はこの株価の上昇傾向というのは、今に始まった話ではなくて、結構長期間にわたって続いています。例えばいすゞは株価チャートを見ますと、例えば2009年ぐらいからは、比較的右肩上がりになっています。

<日野自動車の株価>

日野自動車<7205> 月足(SBI証券提供)

日野自動車<7205> 月足(SBI証券提供)

一方で日野はと言いますと、2009年から見ると一時は上がったんですが、ここ最近ずっと右肩下がりという状況が続いています。

これは業績からもわかります。

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