今回は銀行株についてです。銀行株が上がりましたが、もう売るべきなのか、それともまだ持ち続けるべきか?悩んでいる方はぜひお読みください。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
売るか、持ち続けるか
これまで、銀行株が大きく上昇してきています。
三菱UFJで言うと、この2年で800円くらいのところから1,600円とおよそ2倍になっています。
三菱UFJに限らず、三井住友フィナンシャルグループやみずほ銀行も同様の状況にあります。
銀行株というと、身近で大きな企業という安心感から持っていたり、配当利回りが良いという理由で持っていたりする人が多いかと思います。
しかし、これだけ大きく上がると、売るべきか、持ち続けるべきか、迷ってしまうのではないでしょうか。
そういう時に考えるべきことが2つあります。
1つは、なぜ株価が上がっているのかということ。もう1つは、そもそもどういう考えに基づいて株を買ったのかということです。
銀行株、なぜ上がった?2つの要因
銀行株が上がった要因として、大きな要素は2つあるかと思います。
<上昇要因その1:金利上昇>
銀行は、多くの人から預金を集めて、企業に貸し出したり、有価証券を買うなどして運用益を得るビジネスです。
運用益を上げるためには、貸し出した時の金利がある程度高くないと利ざやが取れません。
預金金利はほぼゼロですが、世の中全体の金利が低いと、貸し出す方の金利も上げられないので、利ざやが縮小してきたというのがこれまでの銀行経営の流れでした。
そんな中で外部環境に大きな変化があり、日銀も10年国債利回りを0.5%以下に抑えていたのを撤廃して1%にするなど、長期金利が上昇しました。
また、足元ではゼロ金利が終了するのではということで、金利の上昇が見込まれています。
こういったことから、銀行経営に追い風が吹いています。
<上昇要因その2:割安の解消>
元々、利ざやが縮小して業績が上がらないということから、銀行株は市場から見過ごされてきた銘柄でした。
PBRも0.3倍ほどだったり、配当利回りも高かったりするなど、大きく割安となっていました。
割安株は、カタリスト(触媒)となるきっかけによって、一気に割安が解消する局面になることがあります。
今回の銀行株で言うと、金利が上昇に転じたことが一つのカタリストであり、もう一つのカタリストがバフェットが日本株を買ったことで、外国人投資家が日本の割安株に注目することになりました。
時を同じくして、東証がPBR1倍割れの上場企業(特にプライム)に対して、割安解消のための策を打つように要請しました。
これを受けて、PBR1倍割れで、業績が悪くない企業に注目が集まり、PBR1倍くらいまでは企業も努力して良くなるだろうという思惑で株価が上がり、割安が解消する流れとなりました。
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