トヨタといすゞが合同で会社設立
いすゞは、当然トヨタグループである日野と仲良くしようということは普通は考えられないですし、実はトヨタとも一線を画していたのです。
「独立独歩で頑張っていこう」ということだと思います。
ところが2021年トヨタは、いすゞにも声をかけて「研究開発を行う会社を作りましょう」ということで、実際に会社を立ち上げたのです。
それが日野が勘当された会社ということになるのです。
この会社で何をしようとしていたのかというと、今の自動車業界の電動化とか、自動運転化というところに繋がっていくのです。
そういった流れの中で「それぞれの会社でやっている場合じゃない」「一緒に協力してやろう」ということで、会社を立ち上げたんだと思います。
買収によって変わる業界地図
世界でも同様のことが起きています。
例えば、同じように商用車の世界シェアの高いボルボやダイムラーも同じ合弁の資金会社を立ち上げて、システム開発を行うと言っています。
また国内でもいすゞがUDトラックと言って、日本国内で4位の会社(ボルボグループ)を買収して、規模を大きくしているのです。
<日本のトラック販売台数>
実はこの買収によって、元々国内シェアで日野が38%で1位、いすゞが35%で2位だったのが、UDトラックといすゞ自動車が一緒になることによって、国内首位が入れ替わってしまったという状況もあります。
トヨタの思惑は?
今や国内1位はいすゞとUDトラックの合算ということになってくるのです。ここで、ちょっと透けて見える気がするのが、トヨタの動きです。
もはや国内での一番のトラックメーカーは、いすゞということになりました。それでトヨタとしては、日野自動車を50%以上保有する子会社として抱えているのですが、今のような体たらくです。
利益率は上がらずに、なおかつ不正を働いたということで、正直かなり業を煮やしているんではないかということが想定できます。
一方で、運良くと言えるかもしれないのですけれども、昨年、研究開発の会社を立ち上げたことによって、それまでライバルだったいすゞを何とか手の内に、自分と近いところに入れることができたのです。
トヨタはちなみにいすゞにも、5%株式を出資しています。トヨタとしてはもはや、いすゞとUDを加えた業界1位のトラック会社を手のもとに置くことができたのです。
となると、ある意味、日野というのはトヨタにとって、用済みなんではないかというところが見えるわけです。
では、これからどういう動きが想定されるのかということをお話しますと、もしかしたら、憶測ではあるんですけれども、トヨタは日野自動車を単体で持っている理由はないのではないでしょうか。