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なぜ政府はインフレを止めないのか。放置すれば税収30兆円増、「物価対策」より「物価高対策」を選ぶワケ=斎藤満

日銀は12月の利上げで政策金利を30年ぶりの0.75%へ引き上げ、今後も経済が想定通りに進めば利上げを続ける方針を示しています。しかし、26年度にインフレが一時的に減速するという日銀のシナリオは楽観的です。政府は物価高対策を掲げつつも、実際にはインフレを前提とした財政運営を続けており、基調的なインフレは高止まりしています。このため26年のインフレ率は日銀予想を上回り、利上げは想定以上に続く可能性があります。(『 マンさんの経済あらかると マンさんの経済あらかると 』斎藤満)

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2026年1月5日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

日銀のシナリオ通りにインフレは改善するのか?

日銀が12月に利上げをして政策金利は30年ぶりの0.75%となりましたが、日銀は経済がシナリオ通りに進めば今後も利上げを続けると言っています。

その日銀シナリオでは消費者物価(CPI)上昇率が26年度は食料品の上昇減速と政策効果でいったん2%を割ると予想、27年度以降はまた2%に高まるとしています。

昨今の高いインフレ率が続く状況から見れば、かなりインフレが改善するシナリオですが、それでもこのシナリオでは日銀の言う「基調的インフレ率」が2%に向かうとして利上げを続ける、と言います。

しかも高市政権下の物価は日銀のシナリオを上回る可能性が高く、日銀の利上げ計画は想定よりも上振れする可能性がありそうです。

12月のCPI減速は一時的

日銀の物価シナリオを予兆するかのように、昨年12月の東京都区部のCPIは前年比2.0%の上昇と、前月の2.7%から大きく減速しました。それも生鮮食品が前年比マイナスになるなど、食料品の上昇が緩んだことと、ガソリン価格の引き下げなど、エネルギー価格が前年比マイナスになったことも寄与しています。

ここまで見ると日銀の予想を先取りした形に見えます。しかし、12月の東京都区部のCPI減速は、必ずしも26年度のインフレ減速の前兆とはいえない面があります。

生鮮食品の下落は前年の今頃キャベツや白菜が異常に高かったことによる前年効果によるもので、一般食料品は依然として6%を超える高い上昇が続いています。また電気代の前年比下落も前年の上昇によるもので、年明け後の政策効果は昨年もあったので、1月からの前年比の低下要因にはなりません。

そしてこの生鮮食品とエネルギーを除いたいわばベースとなるインフレ率「コアコア」は前年比2.6%の上昇と、高止まりしています。しかも東京都の場合、保育園の保育料無償化で、CPI全体を0.3%押し下げていますが、全国では無償化が進んでいない分、これより高くなります。

つまり、12月分の東京都の数字は一時的な減速の面が強く、インフレ減速の前兆ではなさそうです。

政府はインフレ歓迎?

そして26年のインフレを見るうえで欠かせないのが、政府のインフレへの姿勢です。政府は物価高対策を前面に出して、これへの対応を進めているように見えますが、政府の基本認識はインフレ歓迎です。

実際、政府は「物価高対策」とは言いますが、「物価対策」とか「物価抑制策」とは言っていません。物価高を前提としてその痛み止め薬を財政政策で施そうとしています。

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