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日本が「米国のデジタル植民地」になる日。報道されない高市政権の国防リスク=高島康司

高市政権の防衛政策をめぐっては、中国との緊張激化というリスクがよく語られる。しかし、日本ではほとんど報道されない、もうひとつの重大なリスクが存在する。それは、高市政権がトランプのアメリカに近づきすぎることで生じるリスクだ。「米日技術繁栄協定(TPD)」の締結と、パランティア・テクノロジーズによる日本の防衛・行政システムへの全面的な関与が示すのは、日米協力による安全保障の強化などではない。日本がアメリカのデジタル植民地へと転落していく現実である。(『 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 』高島康司)

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※本記事は有料メルマガ『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』2026年2月20日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

高市政権の防衛政策にある見えないリスク

高市政権の防衛政策に潜む大きなリスクについて解説したい。ただし、高市政権が中国との関係で高めている緊張についてではない。これは日本でも広く報道されているので、よく知られたリスクである。今回解説するリスクは、それとはまったく関係ないものだ。日本では報道されることはまったくない。それは、高市政権がトランプのアメリカに近すぎることが引き起こすリスクである。このリスクは非常に大きい。

昨年の10月24日、就任したばかりの高市首相は所信表明演説で、防衛力を抜本的に強化すると表明した。今年度に防衛費を国内総生産(GDP)の2%相当まで増額したうえ、次の防衛予算の中期計画を1年前倒しで改定する方針。トランプ米政権から増額圧力がかかるなか、予算の必要性の議論と財源確保が課題になる。

防衛費はまず、今後5年間で必要な資金の総額を決め、各年度ごとに予算を計上する。2023年度にスタートした「防衛力整備計画」では、27年度まで5年間の総額を、これまでの1.5倍超の43兆円とした。歴史的な増額で、米国の強い期待に応えるものでもあった。

現行の計画では、最新鋭ミサイルの開発・量産や装備品の充実、研究開発の強化、自衛隊施設の改修などにお金を使う。予算額は毎年増やしてゆき、27年度は海上保安庁など関連予算を含めて11兆円にする。22年度のGDP(約560兆円)に対して、約2%になる計算だ。

3年目にあたる25年度は、当初予算ベースで8.5兆円を計上した。関連経費を含めると9.9兆円で、22年度のGDPの1.8%だった。高市首相は所信表明で「新しい戦い方の顕在化など、安全保障環境の変化」があると指摘し、防衛力強化の必要性を強調。今後編成する補正予算で防衛費を1兆円程度増やせば、今年度中に2%を達成することになる。

この計画だけを聞くと、緊張感が次第に高まっている国際情勢に対応するためには必要な処置ではないかとの印象を受ける。防衛力を一挙に高度化し、ハイテク兵器にアップグレードしている中国を意識すると、将来起こる可能性のある台湾有事にアメリカとともに対処するためには、当然の政策のように見えるかもしれない。

「米日技術繁栄協定(TPD)」が日本にもたらすもの

高市政権の防衛力増強の計画は、安全保障の観点だけでその意味を読み取られるべきものではない。さらに決定的な視点が必要なのだ。その視点を提供するのが、昨年の10月28日にトランプ政権との間で締結された「米日技術繁栄協定(TPD)」だ。これは、日米間で締結された、先端技術分野における包括的な協力枠組みである。本協定は、トランプ政権が進める「技術繁栄ディール」シリーズの一環であり、同年9月の米英間の協定に続くものである。

その内容は、以下の主要技術分野において、研究開発の加速、標準化の調整、および国家安全保障の強化で協力することに合意するものである。

・人工知能 (AI):イノベーション促進のための政策枠組み策定、インフラ・ソフトウェアの輸出調整、安全基準の策定

・半導体:サプライチェーンの強靭化と、AIに不可欠な最先端分野での連携

・量子技術:量子コンピューティングの研究保護と進展に向けた共同の取り組み

・通信(6G):信頼性の高い6Gエコシステムの構築と、Open RAN等の活用

・バイオ・医薬品:知的財産保護およびサプライチェーンの脆弱性是正

・エネルギー:商用核融合炉の開発(JT-60SA等の活用)に向けたパートナーシップ

・宇宙:アルテミス計画を通じた月面探査や、民間技術開発での協力拡大

この協定の締結の背景と目的は、まず中国が巨額投資を行う先端分野で日米同盟が主導権を握り、軍事転用や技術流出を防ぐ狙いがある。さらに、研究の透明性と機密保護を強化し、日米の信頼できるパートナー間でのエコシステム構築を目指す。

「パランティア」による日本政府のシステム構築

協定の文面だけから見ると、日米関係を強化して中国への依存を減らし、高まる中国の安全保障上の脅威にアメリカとともに備えることに目的はあるとの印象を受ける。

しかし、その実態は、日米の協力で中国の脅威に備えるなどという生易しいものではないことが分かる。結論から言えば、日本政府の行政や防衛力のシステムにトランプ政権のハイテク企業が入り込み、高市政権の日本がトランプのアメリカのデジタル植民地になってしまう方向なのである。

Next: 日本がアメリカのデジタル植民地になる?無視できない高市リスク

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