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「採ってはいけない人を見極める」「給与で選ぶ人とは働きたくない」相次ぐ人事担当者の“ツイート炎上”。なぜ彼らは社名を晒してSNS上でドヤるのか

都内にあるとあるITベンチャー企業の人事担当者が発信した、新卒採用に関するツイートが、大いに物議を醸している。

新卒採用を担当しているというこの人物だが、多数の応募があることを報告するいっぽうで、「給与や待遇にこだわりのある人とは働きたくないのです。。。」「待遇/給与で会社を選ぶ方と働きたいとは思わない。」と発言。

限られた文字数のなかで、ほぼ同内容の記述を繰り返すところに、発言者のかなり強い想いが感じられるこのツイート。SNS上ではこれに賛同する声もあったいっぽうで、その内容が昨今取沙汰されている「やりがい搾取」を想起させるようなものでもあっただけに、批判的な声が多く寄せられている状況だ。

https://twitter.com/kawazn_aus/status/1489553562028097537

今に始まった話ではない人事担当者の“不遜発言”

ネット上からは「またベンチャー人事の炎上か」という声も聞こえてくる今回の件。というのも、つい先月もこの手の炎上騒ぎがあったばかりなのだ。

「採用は“採ってはいけない人”を見極める仕事だ。」とつぶやくこのツイートは、とある名刺管理サービスを提供する会社の人事担当によるものの模様。

一見、あたかも真理を突いたような雰囲気もする一言だが、就活生の立場、ましてや実際に募集に応じて不採用となった人間からすれば、“採用してはいけない人”呼ばわりされているということでもあり、かなりデリカシーに欠ける発言なのではと、こちらも大いに物議を醸すことに。ちなみに炎上を受けてか、元のツイートはすでに削除されているようである。

このように、確かにここに来て相次いでいる感もある人事担当者によるツイート炎上沙汰だが、この手の話といえば頭に浮かぶ方も多いのではと思われるのが、2011年に起こった「トンボ鉛筆」人事担当者が巻き起こした騒動だ。

折しも東日本大震災の発生直後で日本中が大混乱に陥るなか、2日後の消印で履歴書とエントリーシートを送るよう、就活生に対して強いるメールを一斉送信していたこの人事担当者。メールの内容がネット上に晒されるや否や、そのあまりにも配慮に欠けた内容もさることながら、文面の端々から垣間見れる驕り昂ぶった態度が多くの人の怒りを買い、大炎上となったのだ。

当時からかれこれ10年以上経つ今でも、ネット上では事あることに蒸し返されるなど、この手の騒動としては“伝説”的な扱いとされているトンボ鉛筆の騒動。ネットの普及で誰もが発信者となり得る今の世の中、当人にとっては何気ない不遜な態度が、白日の下に晒されてしまい、取り返しのつかない事態になることも大いにあり得る……そのことを伝えるある種の“教訓”として、この一件が広く伝えられていたわけだが、それにも関わらず先述の通りここに来て、同様の騒動が繰り返される格好となっている。

なぜ人事担当者の失言は繰り返されるのか

今回の一連の炎上を受けて、SNS上では“こういったドヤ顔失言がどうして繰り返されるのか”というテーマに関しての議論も活発になされている。

それらの意見としてやはり多いのが、人事の業務である“他人を評価する”という行為が、自らを過大評価するとともに他人への見下しにも繋がっている。ましてや何事にも下手に出てくる新卒の学生などを相手にしていたら、なおさら……という見方。さらに、人事担当者がこのような“勘違い”を犯しがちなことを踏まえて、「人事というのは裏方に徹するべき」と諫められるような経験ある人材が、殊にベンチャー企業においては不足しがち……といった声もあがる。

とはいえ、そのいっぽうで多くの人からあがっているのが、どうして彼らは会社の名前を晒したアカウントで、このようにドヤった物言いができるのかという“素朴な疑問”だ。

10年以上前のトンボ鉛筆の件は、一応クローズドなメールの上での発言だったため、人事担当者もある意味“油断”していたものと考えられるが、最近のケースに関していえば、自らSNS上で発信して拡散もしているといった格好。今に始まったことではない人事担当者によるこの手の問題だが、こういった“自爆行為”が相次いでいることを考えると、その宿痾はかなり重篤化していると言っても過言ではなさそうである。

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