都内にあるとあるITベンチャー企業の人事担当者が発信した、新卒採用に関するツイートが、大いに物議を醸している。
新卒採用担当を採用したいと思い、沢山の方にご応募いただいているのですが、給与や待遇にこだわりのある人とは働きたくないのです。。。
私は、会社の顏となる人事だからこそ、待遇/給与で会社を選ぶ方と働きたいとは思わない。
— 人事の大塚さん@株式会社ノースサンドって知ってる? (@nshr_otsuka) January 31, 2022
新卒採用を担当しているというこの人物だが、多数の応募があることを報告するいっぽうで、「給与や待遇にこだわりのある人とは働きたくないのです。。。」「待遇/給与で会社を選ぶ方と働きたいとは思わない。」と発言。
限られた文字数のなかで、ほぼ同内容の記述を繰り返すところに、発言者のかなり強い想いが感じられるこのツイート。SNS上ではこれに賛同する声もあったいっぽうで、その内容が昨今取沙汰されている「やりがい搾取」を想起させるようなものでもあっただけに、批判的な声が多く寄せられている状況だ。
https://twitter.com/kawazn_aus/status/1489553562028097537
「給与や待遇にこだわりのある人とは働きたくない」
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┃翻訳機 ┃
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「当社は満足な給料が払えません」この給料で「主体的に物事を考え、自ら率先して行動、提案でき、困難な問題が発生しても粘り強く解決に向けて努力ができる方」を求めるとはだいぶ図々しいぞ! https://t.co/hHXK0xiA0j pic.twitter.com/rTcpXZfhP0
— ブラック企業アナリスト 新田 龍 (@nittaryo) February 1, 2022
給与や待遇にこだわりのある人はダメとか言う企業は、想いとか家族的とかファミリーとか仲間とか絆とか言いがちだし、人間力とか志事とか人財とか顔晴るとか言いがちでもあり、ヤバい会社なのは間違いないと思う。会社は、それが全てではなくても、給与や待遇などで労働の対価を得るところでしょう。
— ONISHI MAO (@mao7735) February 5, 2022
今に始まった話ではない人事担当者の“不遜発言”
ネット上からは「またベンチャー人事の炎上か」という声も聞こえてくる今回の件。というのも、つい先月もこの手の炎上騒ぎがあったばかりなのだ。
「sansanの面接で落とされた就活生が画面の向こう側で見ているかもしれない」っていう想像力が欠如しているからこういう発言が生まれるんですよね。「採ってはいけない」要素をチェックするより、就活生の良いところを引き出す面接をするべきだと思います、、しかもツイート見る限り反省の色無し、、 https://t.co/Jh2xLnQgJH pic.twitter.com/G9W6yp4UnE
— サーモン(鮭)@就活 (@sake_sake7) January 11, 2022
「採用は“採ってはいけない人”を見極める仕事だ。」とつぶやくこのツイートは、とある名刺管理サービスを提供する会社の人事担当によるものの模様。
一見、あたかも真理を突いたような雰囲気もする一言だが、就活生の立場、ましてや実際に募集に応じて不採用となった人間からすれば、“採用してはいけない人”呼ばわりされているということでもあり、かなりデリカシーに欠ける発言なのではと、こちらも大いに物議を醸すことに。ちなみに炎上を受けてか、元のツイートはすでに削除されているようである。
このように、確かにここに来て相次いでいる感もある人事担当者によるツイート炎上沙汰だが、この手の話といえば頭に浮かぶ方も多いのではと思われるのが、2011年に起こった「トンボ鉛筆」人事担当者が巻き起こした騒動だ。
炎上人事ブラザーズに大塚さんが参戦!!!!!
トンボ鉛筆 / 佐藤佳弘
パーソル / 佐藤裕
sansan / 西村俊貴
株式会社ノースサンド / 大塚さん←New!! pic.twitter.com/WNM6DjLa52— ███████ (@KUSO_rep_) February 1, 2022
折しも東日本大震災の発生直後で日本中が大混乱に陥るなか、2日後の消印で履歴書とエントリーシートを送るよう、就活生に対して強いるメールを一斉送信していたこの人事担当者。メールの内容がネット上に晒されるや否や、そのあまりにも配慮に欠けた内容もさることながら、文面の端々から垣間見れる驕り昂ぶった態度が多くの人の怒りを買い、大炎上となったのだ。
当時からかれこれ10年以上経つ今でも、ネット上では事あることに蒸し返されるなど、この手の騒動としては“伝説”的な扱いとされているトンボ鉛筆の騒動。ネットの普及で誰もが発信者となり得る今の世の中、当人にとっては何気ない不遜な態度が、白日の下に晒されてしまい、取り返しのつかない事態になることも大いにあり得る……そのことを伝えるある種の“教訓”として、この一件が広く伝えられていたわけだが、それにも関わらず先述の通りここに来て、同様の騒動が繰り返される格好となっている。
なぜ人事担当者の失言は繰り返されるのか
今回の一連の炎上を受けて、SNS上では“こういったドヤ顔失言がどうして繰り返されるのか”というテーマに関しての議論も活発になされている。
それらの意見としてやはり多いのが、人事の業務である“他人を評価する”という行為が、自らを過大評価するとともに他人への見下しにも繋がっている。ましてや何事にも下手に出てくる新卒の学生などを相手にしていたら、なおさら……という見方。さらに、人事担当者がこのような“勘違い”を犯しがちなことを踏まえて、「人事というのは裏方に徹するべき」と諫められるような経験ある人材が、殊にベンチャー企業においては不足しがち……といった声もあがる。
「なんで企業の人事担当が驕り高ぶってtwitterで爆発炎上しやすいのか」って、”人を評価する業務”がごく自然に他社への見下しに繋がって、その”業務でのロール”と”自分の日常でのロール”の切り分けを失敗するのだろうな、と思う。
— 蝉川夏哉 (@osaka_seventeen) February 6, 2022
人事アカウントが上から目線なのって、「(役割上)人を選ぶこと」で、「自分には力がある、魅力がある」と勘違いしちゃうことなんだろうな。
特に社会人経験が浅く、大して苦労していないポッと出の若手社員だとなおさら。その力は企業や経営者のブランドを間借りしているだけにすぎないのに、、。
— Takato Sakurai|HONE (@LOCAMA_AT) February 4, 2022
これ、割とそのとおりなんだけど、「ちゃんとした」会社の人事部だと、部内でそれを諫める先輩なり上司なりがいる。「人事というのは裏方に徹するべき」と折に触れて叩き込まれる。炎上してる人事の人の多くがベンチャー企業所属なのは、そういう「抑え」がないからなんだろなあ、とは思う https://t.co/BudtQqfRa6
— moritatsu (@moritatsu) February 6, 2022
とはいえ、そのいっぽうで多くの人からあがっているのが、どうして彼らは会社の名前を晒したアカウントで、このようにドヤった物言いができるのかという“素朴な疑問”だ。
先日からベンチャー企業の人事アカウントのツイートが炎上するケースをいくつか見ますが、会社名を大々的に公開している環境でなんでそんなに上から目線の内容でつぶやけるのか、私には全く理解できません。
— たかこ (@takako_official) February 6, 2022
給与や待遇は万全にするのは前提なので、給与や待遇をまず第一に挙げる人はちょっと嫌、とかいう気持ち、と善意に解釈すると、言葉が超足りてなくてこんな人事と仕事をするのが嫌ってなる。
皆が推察するような意味なのだとしたら、まあ、今時、よく社名出してこんなこと言えるねと。 https://t.co/PAsBJRQ4Hb
— やっと (@yattodeta) February 1, 2022
10年以上前のトンボ鉛筆の件は、一応クローズドなメールの上での発言だったため、人事担当者もある意味“油断”していたものと考えられるが、最近のケースに関していえば、自らSNS上で発信して拡散もしているといった格好。今に始まったことではない人事担当者によるこの手の問題だが、こういった“自爆行為”が相次いでいることを考えると、その宿痾はかなり重篤化していると言っても過言ではなさそうである。
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