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金価格また最高値更新…今が買い?トランプ関税と世界の混乱が追い風に=斎藤満

金価格が先週、1オンス3,000ドルを超え、最高値を更新しました。この裏には、インフレでペーパーマネーの価値が低下し、戦乱の不安でペーパーマネーではなく、絶対的価値の金需要が高まっていることがあります。これをもたらしたのは、他でもない米国のトランプ大統領です。(『 マンさんの経済あらかると マンさんの経済あらかると 』斎藤満)

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2025年3月24日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

金価格が最高値更新

金価格が先週、1トロイオンス3,040ドルをつけ、史上最高値を更新しました。日本市場でも1グラム1万6,000円を付け、これも最高値を更新しました。

金現物(1oz.あたり) 日足(SBI証券提供)

金現物(1oz.あたり) 日足(SBI証券提供)

金価格はペーパーマネーの代表ドルの裏返しと見られ、ドルが弱いときに金にシフトし、金価格が上昇することが多かったのですが、このところはドルが強い中で金価格が上昇しています。

この裏にはトランプ大統領の存在が無視できません。トランプ大統領による関税が米国を中心にインフレ懸念を高める一方、中国に強い態度で臨み、中国国内で先行き不安が高まり、さらにトランプ大統領によってイスラエル戦争、ウクライナ戦争が停戦に向かうとの期待が裏切られる状況となってきたことも影響しています。

それぞれについてみてみましょう。

関税戦争の広がり

まず、トランプ大統領の関税政策がやはり広範に広がろうとしています。しかも相手国がそれぞれに報復関税に出るために、関税による物価押上げが米国にとどまらず、関税対象国にもインフレ圧力になることです。

トランプ関税は最初にメキシコ、カナダからの輸入品に課せられ、カナダは報復措置として、米国からのウイスキーなどの輸入品に報復関税を課しました。オンタリオ州は一時米国への電力供給を止めるといいましたが、さすがにトランプ氏がさらに報復として関税率を倍にすると脅したために、電力の武器は取り下げました。

またトランプ大統領はEUを米国から搾取し、食い物にしている組織と批判し、25%の関税賦課を打ち出すと、今度はEUが報復措置として米国産のバーボン・ウイスキーなどに関税を課すと応じました。その時期はややずらすといい、交渉の余地を残しましたが、関税戦争の様相は否めません。

米国は対米黒字を出す国だけでなく、相互関税の形で世界中の多くの国を対象に関税賦課を考え、米国の財源にしようとしているだけに、より多くの国に関税を課し、報復を受けるため、世界中の多くの国で関税分の物価押上げとなり、インフレの広がりによってペーパーマネーの価値が低下します。それだけ絶対的な価値を持つ金の相対価値が高まります。

中国マネーの流出

次に世界第二位の経済大国になった中国が経済不振に陥り、政府の対応に不信感が広がっています。その中で共産党幹部も含めて、多くの中国人が海外への移住を考え、少なくとも人民元の資産をほかの国の資産や、万国に共通の価値を持つ金にシフトしています。

中国では中央銀行のみならず、民間人も金の保有を進めています。

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