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「AIブーム」で盛り上がる株式市場。かつて崩壊した「ITバブル」と同じ道を辿るのか?=栫井駿介

今回は「AI相場」と「ITバブル」の共通点について考えてみたいと思います。今、AIブームで株式市場は盛り上がっていて、特に2023年以降の株価の上昇は生成AIブームが背景にあります。しかし2000年前後のITバブルを思い返すと、盛り上がった後にバブルの崩壊で株式市場が大きく崩れました。昨今のAIブームはITバブルと同じ道を辿るのでしょうか。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

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プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

「AIブーム」と「ITバブル」の共通点とは

かつてのITバブルは、2000年頃のインターネットが活用され始めた頃に、インターネット関連の企業が勃興してきて、Microsoft、Amazon、Googleといった今も残る企業だけでなく、インターネット関連というだけで実態よりも高く評価されていました。

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出典:macrotrends.net

これはナスダックの推移ですが、1990年代後半から2000年にかけての上昇がITバブルにあたります。

2022年頃までのコロナ後の株式ブームが落ち着いた後の2023年以降の上昇がAIブームによるものだと言えるでしょう。

 

ITバブルとAIブームの共通点としては、未来の技術に市場が踊っているということがあります。

ITバブルの時には、インターネットが世の中に出回ることによって、いろいろなことができるようになって、それに付随して様々なビジネスが立ち上がりました。
現在の世の中があるのもそこからITが進化してビジネスになってきたからだと言えます。

当時からITの将来性があったことは間違いありませんが、もう一つ言えることとして、2000年頃の時点では必ずしも大きな収益をあげていなかったということがあります。
利益どころか売上もほとんどないような会社が「○○.com」という名前だけでもてはやされたりもしていました。

 

そして現在何が起こっているかというと、2022年後半に「Chat GPT」が一般に公開され、生成AIに各社が一気に投資を始めました。
それ以降、次々に新たなAIサービスが生み出されています。

ただ、ITバブルとの共通点としては、(ITバブルほどではありませんが)必ずしも収益をあげられていないというところです。

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そんな中でも各社が先手先手で投資を行っていますが、その投資先というのがNVIDIAです。
AIを動かすためには半導体が必要で、その半導体をまともに作れるのは現時点ではNVIDIAしかないということで需要が集中しています。
NVIDIAの売上は前年の2倍以上という業績を記録し、株価も2020年から10倍以上になっています。

このように、ITバブルとAIブームには、テクノロジーを軸に人々の期待が集まっているという共通点があります。

Next: 数字だけを見るとバブルとは言えない。AIブームもどこかで止まる?

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