不正の疑い
個別事象として気になることが、粉飾決算です。
ITバブルでは、株式市場が加速する裏で様々な粉飾決算が行われていました。
エネルギー企業のエンロンや通信会社のワールドコムなど
粉飾決算が発覚する前はもてはやされていましたが、粉飾決算が発覚したことによって株式市場への信頼が失われ、ITバブルのビジネスモデルに対する疑念も高まってきました。
この動きと似ていると言えなくもないのがスーパー・マイクロ・コンピューターの年次報告書の提出遅れの件です。
※参考:スーパー・マイクロ、株価一時28%下落 年次報告書遅れ – 日本経済新聞(2024年8月29日配信)
空売りファンドのヒンデンブルグ・リサーチから会計操作の指摘を受けて、その後の年次報告書の提出が遅れていることから、本当に怪しい部分があるのではないかと株式市場で取り沙汰されています。
スーパー・マイクロ・コンピューターはNVIDIAと並んで話題となっていた企業であり、そこが粉飾決算ということになると、AIブームに対する疑念も高まってしまう部分があるのではないかと思います。

SUPER MICRO COMPUTER INC (SMCI)週足(SBI証券提供)
株価の動きも、一時大きく上がってからどんどん下がってきていて、このあたりも注目しておくべきかと思います。
歴史は繰り返さないが韻を踏む
アメリカの作家、マーク・トウェインが行ったとされる言葉で「歴史は繰り返さないが韻を踏む」というものがあります。
ITバブルの時と全く同じことが起きるとは限らないですが、どことなく似ているようなことが起きるということです。
厳密な因果関係ではありませんが、状況を捉えて判断することが投資家の腕の見せ所だと思います。
ぜひ皆さんも今のAIブームの状況を肌で感じながら投資判断を行うとともに、ここで得た経験を次の株式市場で活かせるように取り組んでいただきたいと思います。
それを繰り返していくことで投資の上達にもつながるでしょうし、投資を続けながら少しずつ腕を磨いてみてはいかがでしょうか。
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『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2024年9月6日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。