今回は決算後、一時ストップ安まで落ち込んだスクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>(以下、スクエニ)を取り上げます。220億円にも及ぶ突然の巨額損失でスクエニのライフは大幅に減少…。そしてドラクエ12の開発中止まで噂される状況になっています。人気ゲームの開発は今後どうなるのか。スクエニの抱える問題点や現状について解説しながら、長期投資目線で投資判断を考えます。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)
プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。
スクエニの厳しい現状
スクエニの株価が暴落しています。

スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684> 日足(SBI証券提供)
決算直後に一時ストップ安。決算から数日経った現在も、決算前から約25%下落した水準です。
スクエニに何が起こっているのでしょうか?
まずは業績の推移を見てみましょう。
出典:決算短信より作成
売上、営業利益ともに伸び悩んでいることがわかります。
2020~2022年のコロナ禍においては右肩上がりですが、その後失速。今期2025年は営業利益はやや回復しているものの、売上は減少する予想です。
次は事業の中身と提供しているコンテンツを見てみましょう。
スクエニは大きく4つの事業を展開しています。
<デジタルエンタテイメント>
出典:企業HP
家庭用ゲーム機(携帯ゲーム機を含む。)、PC、スマートフォン向けなどのデジタルコンテンツを提供
<アミューズメント>

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出典:企業HP
アミューズメント施設の運営、アミューズメント施設向けのアミューズメント機器の販売、レンタルを行う
<出版>

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出典:企業HP
コミック雑誌、コミック単行本、ゲーム関連書籍等の出版、許諾等を行う。
<ライツ・プロパティ等>
出典:企業HP
自社IPの二次的著作物の企画・制作・販売・ライセンス許諾等
スクエニのヒット作、強力なIPといえば、なんといってもドラゴンクエスト、ファイナルファンタジーなどです。23年度は薬屋のひとりごとがヒットするといったこともありました。
事業別の利益推移を見てみましょう。主力のデジタルエンタテイメント事業の利益減少が目立ちます。
出典:決算短信
この利益減少について、24年3月期の決算は販管費や研究開発のコスト増加が響き減益となりました。さらに、一部ゲームの開発を取りやめたことによる廃棄損、221億円の特別損失を計上しています。
つまり、主力のゲーム事業が苦戦していることが大きな問題と言えるでしょう