スクエニ株(ゲーム株)の特徴
このように、厳しい現実の中ですが、スクエニにはよい所もあります。
BSの安全性はかなり高く、苦戦しているからといえども今すぐ倒産するようなリスクは小さいです。自己資本比率は77%、資産4,100億円のうち、現金は2,260億円です。

出典:決算短信より作成
任天堂などにも言えることですが、ゲーム業界の企業はゲームがヒットするか否か?という当たり外れのリスクに備えて現金を多めに持っておく特徴があります。
一方で、これが投資リスクにもなります。この変動・リスクが嫌いという方は投資対象にならない業界です。
もう一度株価の動きをみてみましょう。

スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684> 日足(SBI証券提供)
株価が下落している一方で、今期の最終利益の予想は前年比+87%です。決算前のPERは26倍であったのに対し、現在のPERは21倍前後です。つまり、仮に今回のゲームの開発中止による損失が一時的であり、経営改革がうまくいくのであれば、「今」投資するリスクは低いかもしれません。
では、長期投資の観点でスクエニに投資できるか?を考えます。
結論、スクエニのドラクエやFFなどの人気コンテンツを中心に、今後も成長していくことを信じられないのであれば投資対象にはならないかもしれません。
一方で、組織改変を中心とした中期経営計画を、ある程度ポジティブに捉えることもできます。おそらく、この組織改善の一環として望みが薄いゲームの開発を中止したため、220億円の特別損失を出すに至ったと推測できます。
今回の特損を悪く考えるならば、「将来売るはずだったゲームがおじゃんになった」ですが、良く捉えるならば「回復に向けた膿出し」と考えることもできます。(膿を出し切っていればいいのですが…)
ここから回復・成長していくのか、組織改善は業績改善に繋がらないのか、今後も注目していきたいと思います。
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『
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
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』(2024年5月14日号)より
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。