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なぜプロもセミプロも全世界株式(オルカン)を勧めてくるのか?3つのメリットと2つのデメリット。S&P500じゃダメな理由も=栫井駿介

新しいNISAが始まり、投資を始めた方も多いかと思います。投資先として圧倒的に人気なのがオルカン(オールカントリー)です。「とりあえずオルカン」ということで投資したものの、本当にこれでよかったのかと不安になっている方もいるかもしれません。なぜ専門家はオルカンを勧めるのか、なぜオルカンが良いのか、改めて考えて理解することが、投資初心者脱却の第一歩となると思います。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

オルカン一択なワケ

「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2023」のランキングでは、『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』が2位に3倍以上の差をつけて1位となっています。

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出典:投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2023

このように、投資に詳しい人たちがオルカンを勧めていて、勧められた通りにオルカンを買った方もいるかと思います。

一方で、みんなと同じものを買っていて良いのか、投資はみんなの逆を行った方が良いのではないか、という意見も多くあります。

 

専門家がオルカンを勧める理由は何なのでしょうか。

<理由その1:手数料が安い>

1つは手数料が安いということがあります。

例えば「eMAXIS Slim 全世界株式」は、日々の純資産総額に対して年率0.05775%と、手数料はほぼ無料と言える水準です。

手数料負けすることはありません。

<理由その2:失敗が無い>

全世界株式は、世界の時価総額の割合をそのまま小さくしたものです。

世界中の株式を買うことで、小さなリスクの中で最大の利益が取れると、理論上言われています。

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出典:みずほ証券ファイナンス用語集

これは「効率的フロンティア」と呼ばれるもので、リスクが横軸、期待リターンが縦軸となり、リスクが高くなると期待リターンも高くなる、図で言うと右上に向かっていくのが投資商品です。

投資をするなら、リスクが低くてリターンが高いのが理想的で、図の左上にあった方が良いわけです。

これ以上リスクを下げてリターンを上げることができないというラインが「効率的フロンティア」(茶色線)です。

効率的フロンティアに限りなく近いものがオルカンということになります。

つまり、オルカンを買っておけばおかしなことにはならないということです。
消極的な考えにはなりますが、リスクを最小限に抑えながらそこそこのリターンを得られます。

<理由その3:確実なリターン>

世界には無数の企業がある中で、どの企業が大きく伸びるかは分かりません。
ただ、今の世の中の流れとしては、特定の少数の企業が世の中の大半の時価総額を占めているような状況です。
つまり、その特定の企業の株式を持っていなかっただけでパフォーマンスが劣後してしまうということです。

全世界株式を買っておけば、時価総額が大きくなった企業が必ず入ってきて、全体としての資産が増えていく可能性が非常に高くなります。

もちろん、株価が下がってしまう企業も入っていることになりますが、上がる企業が入っていないということが無く、全体としてはプラスになるということがオルカンを買うメリットです。

21世紀の資本』(著:トマ・ピケティ/刊:みすず書房)には、資本の成長率(r)は経済全体の成長率(g)よりも高くなり、だからこそ資本の成長を享受できる株式に投資していた方が有利であると書かれています。

その手段としてオルカンを使うことは、シンプルで意味のある考え方となります。

Next: オルカンにもデメリット。S&P500じゃダメなのか?

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