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楽天グループ「金融事業再編」の衝撃…ついに虎の子の楽天カードまで売却する?真の思惑とは=澤田聖陽

4月1日、楽天グループ<4755>は金融子会社の再編について協議を始めたと発表した。「ついに虎の子の楽天カードまで売却か?」というような報道もされているが、その印象を持たれることを絶対に避けたい楽天グループはどう再編に乗り出すのだろうか。考えられるスキームとその後の株主構成、楽天グループは持ち株をどうするかなどについて解説したい。(『 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 』澤田聖陽)

※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2024年4月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:澤田聖陽(さわだ きよはる)
政治経済アナリスト。国際証券(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、松井証券を経て、ジャフコ、極東証券にて投資業務、投資銀行業務に従事。2013年にSAMURAI証券(旧AIP証券)の代表に就任。投資型クラウドファンディング事業を立ち上げ拡大させる。現在は、澤田コンサルティング事務所の代表として、コンサルティング事業を展開中。YouTubeチャンネルにて時事ニュース解説と株価見通しを発信している。

楽天グループ、ついに金融事業再編へ

4月1日、楽天グループ<4755>(楽天G)は金融子会社の再編について協議を始めたと発表した。

楽天銀行<5838>・楽天証券ホールディングス(楽天証券HD)・楽天カードなどを、10月を目途に1つのグループにまとめる方針だ。

楽天Gは金融事業の一体化でシナジー効果があり、グループ化することで事業価値を高められると説明しており、すでに上場している楽天銀行を軸に再編を進める案が有力である。

楽天銀行の傘下に楽天証券HDや楽天カードを子会社化して置くか、楽天銀行を銀行持株会社化して、その傘下に楽天銀行・楽天証券HD・楽天カードなどを置く案が考えられる。

IPO準備をしていた楽天証券HDは、IPO準備を中止するとしている。

各社の状況と企業価値は?

楽天銀行はすでに上場しているので株式市場で企業価値が付いており、同社の4月1日株価の終値ベースでの時価総額は約5,583億4,400万円となる。

楽天Gは同社の49.26%の株式を保有している。

楽天証券HDは未上場であるが、証券会社(第一種金融商品取引業)であるため、決算情報を開示しており、2023年12月期決算は以下のとおりとなっている。

売上:1,105億8,700万円
経常利益:283億1,200万円
当期純利益:175億8,500万円

仮にPER15倍とすると時価総額は2637億7,500万円となる。

同社の株式は楽天Gが51%、みずほ証券が49%を保有している。

同社の上場が延期となった原因でもあるが、同社は昨年より株式売買の手数料無料化を実施しており、今後の収益がどうなるか不透明な部分があるのだが。

最後に楽天カードであるが、同社は楽天ポイントによる「楽天経済圏」の中心となる企業であり、直近の有価証券報告書(未上場であるが楽天カードは有価証券報告書を出している継続開示会社である)によると、2023年12月期の決算は以下のとおりとなっている。

売上:4,063億5,000万円
税引前当期利益:692億700万円
当期純利益:485億2100万円

こちらもPER15倍とすると時価総額は7,278億1,500万円となる。

楽天経済圏ぐらいの規模で金融を軸にした経済圏を構築している会社は他には少なく、楽天カードの企業価値はプレミアムが付いて1兆円程度はあるという意見もある。

同社の株式は楽天Gが100%保有している。

Next: 再編後の株主構成は?楽天グループは持ち株をどうするか?

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