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どこが戦後最長の好景気なのか?アベノミクス景気の実態は16か月で終了している=斎藤満

国民に実感はありませんが、この1月、政府は「戦後最長の景気拡大を実現した」と宣言すると見られます。私たちにとっては戦後最弱・最悪の景気拡大です。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

※本記事は有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2019年1月16日の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

消費増税と選挙を控えた安倍政権は「景気後退」を認められない…

この1月で74か月の景気拡大

政府は昨年12月の「月例経済報告」でも景気は緩やかに拡大を続けていると判断。2012年12月に始まった今回の景気拡大は73か月となり、「戦後最長の景気拡大」とされる「いざなみ景気(2002年2月~2008年2月)」と並んだことになります。

そして、この1月には74か月となり、戦後最長の景気拡大を実現したと宣言すると見られます。

これまで戦後最長とされた「いざなみ景気」も、実は小泉政権下での円安で企業は潤ったのですが、家計部門に回復実感がなく、2009年1月の閣議後の会見で与謝野経済担当大臣はこれを「かげろう景気」と表現しました。なかには「リストラ景気」と命名するものもあり、国民の間に実感なき景気拡大の典型とされました。

今回の景気回復は2012年12月に始まった安倍政権と重なることから、「アベノミクス景気」と呼ぶ向きもありますが、12年12月の回復自体は民主党政権下での景気対策によるもので、安倍政権はこれに便乗し、その後の大規模な財政・金融緩和により勢いをつけたにすぎません。

アベノミクス景気は16か月の短命

実際、アベノミクスによる景気拡大は短命だったと考えられます。

輸出の底入れで始まった景気回復はその後アベノミクスへの期待で円安、株高が進み、外国資本が日本株を大量に買って株価が急騰し、景気は13年から翌年の消費税引き上げへの駆け込み需要が高まった14年1-3月まで勢いが付きました。そこでは一旦インフレも2%近くに高まりました。

ところが、14年4月に消費税を引き上げたことをきっかけに、そこから「駆け込み」の反落も加わって景気は急速に冷えこみ、4-6月期のGDP(国内総生産)は大幅なマイナス成長となりました。

事前に大規模な景気対策を打って景気対策に万全を期していたはずですが、政府関係者からも「想定外の落ち込み」との判断が続出しました。これが安倍総理にはその後の「トラウマ」になったようです。

翌年になってGDPはやや持ち直すのですが、景気は引き続き低迷を続け、内閣府の「景気動向指数」は消費税引き上げ後1年半以上も「下向き基調」が続きました。

多くのエコノミストから「景気後退」に突入との見方が提示されましたが、内閣府が安倍政権に「忖度」して、景気判定を行う民間委員に対して「景気後退とは言えない」と、予め「大本営判断」を示し、議論を封じてしまいました。

ちなみに、消費税引き上げ直前の景気ピーク時の景気動向指数「一致CI」は105.6をつけていて、この数字はその後一度も更新されていません。足元昨年11月は103.0、直近ピークとなった2017年12月も105.1で、いずれも消費税前のピークを下回っています。

これから見ると、アベノミクス景気は14年3月までの16か月で終了したとも言えます。

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