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どこが戦後最長の好景気なのか?アベノミクス景気の実態は16か月で終了している=斎藤満

戦後最弱の景気拡大

仮に政府が「いざなみ越え」の戦後最長の景気拡大と宣言した場合、アベノミクス景気は不名誉にも戦後最弱、最悪の景気拡大となります。

先に紹介したように、「いざなみ景気」自体、実感のない「かげろう」のような心もとない景気拡大と経済担当大臣が評価しましたが、アベノミクス景気は、これをさらに下回る弱さとなっています。

内閣府の景気動向指数のうち、「CI」は景気の方向だけでなく強弱の度合いも反映する指標です。これで「いざなみ景気」と「アベノミクス景気」を比較してみましょう。

いざなみ景気」では、一致CIが2002年1月の83.7から2008年2月の104.9まで25.3%拡大しています。これに対して「アベノミクス景気」では、2012年11月の91.2から足元昨年11月の103.0まで12.9%の拡大にとどまっています。

実感のない拡大とされた「いざなみ景気」の拡大ペースのさらに半分の勢いしかなかったことになります。

特に、家計部門については「いざなみ景気」当時も実感がなかったと言いますが、それでも当時は実質賃金がやや増加していたのに対し、「アベノミクス景気」では、ここまで実質賃金が4%以上も減少しています。

国民にとっては戦後最弱、最悪の景気拡大となります。

再び景気後退のリスク

政府の月例経済報告では、昨年12月まで景気は「緩やかな回復にある」と判断していますが、内閣府の景気動向指数は9月以降景気は「足踏み」の状態にあると判断しています。

景気動向指数の「一致CI」は足元で103.0ですが、直近ピークの17年12月の105.1を下回ったままです。今が「踊り場」でまた回復拡大に向かうのか、足踏みから「後退」に向かうのか、予断を許さない状況にあります。

その点、同じ景気動向指数の「先行指数」をみると、足元は99.3で、これは2017年11月のピーク102.7から低下基調にあり、7か月移動平均の数字でも6か月連続の低下となっています。

この数字が示唆するのは、日本の景気は「後退」に向かうリスクが高まっていることで、足元がすでに後退期に入っている可能性も排除できません。

特に、輸出に依存する日本の製造業にとって、中国経済の減速は影響が大きく、しかも需要が減速する中で、通商交渉の結果、中国は米国からの輸入を優先することになるので、日本からの輸入はそれだけ割を食う懸念があります。

また、トランプ大統領の自由貿易体制破壊から、世界貿易の伸び自体が落ちています。

そして今後は日本が米国との通商交渉のなかで、対米自動車輸出の制限を強く受けるリスクが高まり、為替もジワリと円高になっています。

Next: 消費増税と選挙を控えた安倍政権は、そう簡単に「景気後退」を認められない…

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