「小学生がなりたい職業ベスト10」にも登場し、ガッツリ稼げる仕事というイメージが定着したYouTuber。しかしながら、ネット広告市場がかなり成熟化してきたこともあって、コンテンツを制作・アップしてチャンネル登録者数が順調に増えればしっかり食べていける…という時代は終わろうとしています。(『 今市的視点 IMAICHI POV 今市的視点 IMAICHI POV 』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市的視点 IMAICHI POV』2022年12月19日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
小学生が憧れる職業「YouTuber(ユーチューバー)」に限界が迫る…
「小学生がなりたい職業ベスト10」に登場してからかなりの時間が経過し、若者や子ども達にはガッツリ稼げる仕事というイメージが定着したYouTuber。
しかしながら、ネット広告市場がかなり成熟化してきたこともあって、コンテンツを制作・アップしてチャンネル登録者数が順調に増えればしっかり食べていけるという時代は、いくつもの材料が重なってかなり難しい時代を迎えていることが垣間見えてきます。
いったい何が起こっているのでしょうか。
参入障壁は低いが、YouTuber間の競争は激化の一途
10年・20年前に比べて、兼業でほかの仕事をしながらYouTubeにコンテンツをアップする個人というのは劇的に増えています。
さらには専業YouTuberとして活動する人の数も劇的に増えているのが、足もとの状況です。
もちろんこの間、動画広告を配信したいと考える広告主も激増していますが、個別のコンテンツの制作クオリティも驚くほど高くなっており、個人が自分で内容を考えて撮影・編集して定期的にアップしていけば視聴者がどんどん増えて、それに呼応するように広告収入も増えて楽に暮らしていける……という時代はすでに終わってしまったようです。
後発YouTuberの中には、個人が単独で行うのではなく企画・撮影・編集といったプロセスをグループワーク化し、まるでテレビ放送のように週間でも定時に配信を始めるといったことまで実現しています。
そのため、もはや一個人が暇と思い付きでコンテンツ制作して配信するといったものではなくなりつつある状況が鮮明になっています。
動画広告市場は成熟化。広告収入でのマネタイズは至難の業という時代に突入
国内のネット動画広告市場を見ますと、ネット広告自体が既存の四媒体広告費をとうとう2021年に抜く形となり、動画広告もすでに5,000億円を超えて、地上波のテレビ広告費の3割弱にまで拡大しつつあります。
したがって、これが成長限界だとは言えませんが、一定の成熟化がはかられたことは確かでしょう。
広告スペースがあれば何でも広告が掲載されるといった勃興期特有の売り手相場では無くなっていることも、確かな状況です。
広告主はよりターゲティングの条件を厳しくしていますから、フィルタリングされたいくつもの条件を満たした視聴者にだけ広告が配信されるとなると、単純に登録者が多く視聴回数が多いというだけでは広告掲載を獲得できないという、なかなか難しい状況にさしかかっています。
そのため100万人・200万人といったかなり大規模な登録視聴者をかかえたチャンネルを保有するYouTuberでも、単純にYouTubeからあてがわれる広告の収入が激減し始めていることが明らかになりつつあります。