日本国内向けの動画配信には限界が来ている
ネット広告は、黎明期のとにかく広告スペースさえ増やせばそれがすべて掲載料につながるという極めて楽なビジネスの時間帯もありましたが、さすがに青天井ではなくなっています。
さらにコンテンツが激増している中にあっては、ネット動画広告市場が拡大しても、局地戦では結局広告の奪い合いになっていることも理解しておかなくてはなりません。
世界規模のマクロな視点で言えば、YouTube広告は引き続き伸びているのは事実ですが、海外のコンテンツの場合、言語の壁を完全に超えて外国語の字幕がなくても映像だけで十分に楽しめるものが多く、案の定すさまじく大きな数の視聴者を確保しているのも実情です。
したがって、国内のお笑い芸人のコンテンツや国内に特化した酒場の飲み歩き、鉄道系YouTuberの極めてローカルでマニアックなコンテンツなどは、そもそも日本人視聴者だけがターゲットになっており、初期段階で面白がる海外視聴者がいたとしても、視聴者拡大の成長限界を抱えていることも理解しておかなくてはなりません。
こうしたことからいまどきの本邦YouTuberは、PR案件でクライアントから直接PR費を獲得することで売上を伸ばしたり、グッズを積極的に販売したりと、多角的な取り組みで収入を伸ばしていくことに躍起になっているのが実情です。
もはや国内のYouTuberはこうしたネット広告収入以外の部分での知恵比べの時間帯に突入しており、ほとんどが単独ではなくチーム・グループで活動するようになっている点も見逃せないポイントです。
気がつけば時間視聴の競争相手は有償動画という厳しい状況に
ここまではYouTubeの間での競争環境の話でしたが、実はもう少し俯瞰的に市場を見てみますと、ネットの動画視聴にはまったく別の競争相手が存在していることがわかります。
昨今は1日の動画視聴ということで見ますと、4時間程度の時間の半分は依然として地上波の番組視聴、残りの2時間弱は動画サービスの利用となっています。
つまり、YouTubeはすでにアマゾンプライムビデオやネットフリックスなどの有償配信動画とも競争状況にあり、国内勢ではTVerやHuluも競争相手になっている状況です。
ネット動画サービス視聴の枠のなかでは20%弱の時間消費シェアをYouTubeが占めているという調査結果も出ていますが、アマプラ・ネトフリ・TVerなどをまとめますと、実は2割より大きなシェアをすでに保有しています。
YouTubeたちは、最高に制作費のかかっている映画・ドラマ・国内TV番組のオンデマンド視聴とガチでぶつかっており、激しい競争環境に直面しているのがわかります。