自分の富を持っている以上に大きく見せたがる者がいる一方、本物のお金持ちは富をひけらかさない。私が出会ったロスチャイルド家4代目のジェイコブ・ロスチャイルド氏もそうだった。オックスフォード時代の先輩にあたる彼は、普通の人と変わらぬ第一印象で、息子のことなど個人的な話もたくさん聞かせてくれた。(『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』房広治)
※本記事は有料メルマガ『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』2018年5月14日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。
プロフィール:房広治(ふさ こうじ)
アメリカ、イギリス、香港など主要金融センターで著名な日本人投資家。留学中に外資系銀行に就職し、わずか10年で日本のインベストメントバンキングのトップとなった。投資家転向初年度に年率リターン90%以上の運用成績を出し、ファンドマネジャー・オブ・ザ・イヤーとなる。現在は、バークレー大学・ハースビジネススクール、コロンビア大学、ロンドンビジネススクール、香港大学など著名大学で、オルタナテイブ投資、ヘッジファンド、プライベートエクイテイファンド、コーポレートガバナンス、金融危機についてのゲスト講義なども行っている。
トランプは「本物の金持ち」ではない
Forbesの世界の金持ちリストにどうしても入りたかったトランプ氏は、偽名を使って他人を装い、Forbesの記者を騙してリストに入ったというニュースが流れていた(※編注:原稿執筆時点2018年5月14日)。
その頃のトランプ氏は、資産よりも借金のほうが大きく、それがバレると誰もお金を貸してくれなくなるので、Forbesのリストに載ることに必死だったのだという。
ロスチャイルド卿の第一印象は「普通の人」だった
創業者の多くは、トランプ氏のように、自分の富を本当に持っている以上に見せたがる習性がある。
しかし、長年に渡ってお金持ちであると、金持ちであることを世間に知られることがリスクと感じ、富をひけらかさなくなる。
その例が、ジェイコブ・ロスチャイルド氏である。私のヘッジファンドのパートナーであったアリスター・シーブライト氏とも友人で、現在84歳。年の差は30ぐらいあるにもかかわらず、ロスチャイルド氏とアリスター氏は友人付き合いをしている。
ロスチャイルド氏は、普通に「RIT Capital Patners」という上場投信の会長という肩書で、知らずに会うと、そんなに大した金持ちでもないような第一印象を受ける。
ロスチャイルド家は、世界の中で唯一、1兆ドル(100兆円)を保有しているファミリーであると言われている。YouTubeには「2兆ドルの資産」と紹介する動画がいくつか上がっているが、それが正しいかどうかは、おそらく本人たちも分かっていない可能性がある。
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