日本の株式市場が盛り上がるなか、大きく株価を下げている企業があります。それは、住友化学<4005>です。24年2月2日の第3四半期決算では下方修正を発表しました。それを受け株価はさらに10%下落。一方でPBRは0.4倍ですから、投資チャンスに見えるかもしれません。今回は、住友化学の現状を分析し、なぜ株価が下がっているのか?投資して良いのかを考えていきます。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)
プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。
住友化学の製品は様々な産業に使用されている
まずは、住友化学の事業内容を見てみましょう。
一言で表すと、大手総合化学メーカーです。業界首位は三菱ケミカルGであり、それに次ぐ2番手の立ち位置です。
住友化学が製造している素材は、医薬品や半導体材料、農薬など様々な産業に使用されています。セグメントも対象産業ごとに6つに分かれ、とにかく事業範囲が広いことがわかります。
しかし、業績は過去10年の中で最悪の状態です。営業利益の赤字が拡大しています。
出典:各年度有価証券報告書より作成
これをセグメントごとの利益推移に分けると、2015年から2022年にかけて好調だった医薬品セグメントや、エッセンシャルケミカルズセグメントが大きく足を引っ張っていることが分かります。そして、この2つが下方修正をもたらした最大の理由です。
出典:各年度有価証券報告書より作成
具体的には、医薬品セグメントの関連子会社の住友ファーマと、エッセンシャルケミカルズ事業の関連会社であるペトロ・ラービグ社という2つの関連会社の業績がふるいません。
出典:住友化学 24年3月期 第3四半期決算説明資料

住友化学<4005> 月足(SBI証券提供)
では、これらの会社で何が起こっているのか?
ここから深掘りしていきます。