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高配当も赤字転落…「リクシル」株は買い?国内・欧州の苦戦をどう挽回するのか=佐々木悠

配当利回り5.31%… 投資して良いのか?

まずは、株価の動きを見てみましょう。

この3年間、下落を続けています。

LIXIL<5938> 週足(SBI証券提供)

LIXIL<5938> 週足(SBI証券提供)

下方修正発表の翌日、4月23日の株価は6%下落し1,677円を付けました。

 

今回の下方修正の内容である

  • 国内:先進的窓イノベ事業の追い風が弱まっている可能性
  • 海外:欧州の住宅市場の低迷

 

この両方が、一時的とは考えづらいと思います。

本決算は4月30日予定ですが、同日に発表される25年3月期の予想においても悪影響を与えそうです(編注:原稿執筆時点4月25日)。

 

一方で、LIXILは積極的な配当還元が目立つ高配当株です。

当期純利益が減益(赤字決算)となったものの、減配の発表はありませんでした。

配当利回りだけを見れば5.3%と高い水準です。

 

しかし、当期純利益が赤字であるのに対し、配当金を出すということは、これまで積み上げた利益を取り崩してまで配当金を捻出している状態です。

 

今期の配当金は、昨年同様1株あたり90円です。昨年は配当金として約260億円の支払いを行いました。黒字決算だった昨年の配当性向は161%です。

 

今年は赤字であるにも関わらず、昨年同等の配当金を出していることを考えると今のLIXILはかなり無理をして配当金を支払っています。本来であれば、配当金の継続性のためにも事業環境改善のために利益を出せる体制への投資を行って欲しいものです。

 

というよりも、「株価の下落を招かないようにするために減配しない」としている可能性もあります。

投資家として、考えるべきことは

  • 少なくとも事業環境は良くない
  • 配当金の継続性も疑義がある
  • 減配の発表と同時に株価が大幅に下落するリスク

こういった可能性を考えるべきでしょう。

 

個人的な感想ですが、高い配当利回りを鵜呑みにしないように注意するべきです。

事業環境と配当金の継続性、その両面から見て投資を行うのは慎重にならざるをえないと考えます。


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image by:Rs1421 at Wikimedia Commons [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2024年4月25日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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