株価下落は場外乱闘の影響?
株価下落の理由を考えるうえで、考えられるのは大株主の動向です。
OLCの最大株主は、京成電鉄です。この京成電鉄の動向が関係している可能性があります。

出典:株探
ことの発端は23年の10月です。イギリスの投資ファンド・パリサーキャピタルが、投資先である京成電鉄に対し、OLCの株式を売却するよう要求していたことが明らかになりました。
正直、この要求は至極真っ当にも思えます。
OLC株の含み益を考慮すると京成電鉄の株価推移は軟調であり、OLCの保有比率を20%から15%まで引き下げ、売却資金を成長促進のための投資や株主還元に充てることを求めているのです。
この発表に対し、OLCの株は売られるのではないか?という思惑を呼び、株価が下落している可能性が考えられます。株式は、売りが増加して需給が悪化すると短期的には下落圧力となります。
実際は、24年の3月に保有比率を20%から19%になるように1ポイント分売却していたことが明らかになりました。しかし、パリサーキャピタルの要求は15%までの引き下げであったことを踏まえると、京成電鉄は「やれやれ…」という姿勢であり、積極的に売却しているとは言い難いのです。
さらに、パリサーは24年4月30日には追加でOLC株を売却するように株主提案を再提出。
それ受けOLCの株価が急落するなど、OLCの事業動向に関係なく株価が変動している印象を持ちます。つまり、大株主の京成電鉄とアクティビストの場外乱闘によって株価が下落していると考えます。
ちなみに、この4月の提案に対し京成電鉄側は「OLC株は中長期的な企業価値向上のために必要な大型投資の原資になり得る」として、株主提案を拒否。
現状はOLC株の売却に対し慎重な姿勢を見せています。
しかし、株式市場では資本効率・資本コストを意識した経営を求められています。そして京成電鉄はOLC株の創業に関わっているものの、舞浜と京成電鉄は関係が薄く、事業上のシナジーは大きくありません。
京成電鉄が、流行とは逆の動きをいつまで続けるのか?という点がOLC株の株価変動のカギになる可能性があります。
そして、OLC側の京成電鉄に対する24年5月時点の見解は
「今申し上げることは特にない。様々なケースを想定し最善の方法が取れるように準備している。株主への影響を考慮している。」です。
仮に、京成電鉄がOLC株を売却した場合、株価の下落圧力が高まります。
その対応策として、京成電鉄が売却する株式を自社で購入するなど、自社株買いの動きを取ることが考えられます。具体的な話が言及されているわけではありませんが、水面下では準備が進められているのかもしれません。
PERの高さをどう説明する?
さて、OLCの株価は下落しているとはいえ、5月22日現在のPERは約63倍です。日経平均のPERは16倍であることを考えると、非常に高い水準です。
ただし、OLCの過去10年平均のPERは約60倍ですから、常にPERが高い企業なのです。
この高いPERを支える原動力は何でしょうか?それは、なんといってもディズニーリゾートの魅力にあると思います。
世代を超えて愛されるキャラクターやストーリーに加え、何度行っても面白いアトラクションと非日常の空間が人々を舞浜に呼び寄せています。
特に、東京ディズニーリゾートの約8割がリピーターです。
こういった根強い人気があるからこそ、値上げをしても来園者数が減らず、今後も成長させるという期待があるものと考えます。
オリエンタルランドのPER60倍は決してバブルとは言えません。それだけの魅力とブランドを兼ね備えた強いコンテンツなのです。