fbpx

株価乱高下「レーザーテック」空売りレポートに何が書いてある?長期投資家は売りか買いか=栫井駿介

今回はレーザーテック<6920>について解説します。レーザーテックに対して、アメリカのスコーピオンというファンドが空売りを仕掛け、その理由をまとめた334ページにも及ぶレポートが公開されました。これを受けてレーザーテックの株価は一時下落しています。このレポートにはどのようなことが書いてあるのかということを解説したいと思います。今回はあくまでレポートに書いてあることをまとめてお伝えするという趣旨であり、内容の真偽については分かりかねますのでご了承ください。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

レーザーテックの事業

レーザーテックは半導体製造装置の会社で、株式市場で今重要な存在となっています。

E383ACE383BCE382B6E383BCE38386E38383E382AF1.png

出典:レーザーテック

マスクブランクス検査装置というものを作っていて、特に極端紫外線(EUV光)を使うマスクブランクス検査装置で世界シェア100%を誇ると言われているニッチ企業です。
ニッチではありますが、いま半導体が盛り上がっていて、EUV光を使った半導体が世界最先端のものとなっていますが、その製造工程で必要となる検査装置を作れるのがレーザーテックだけということです。

“シェア100%”ということは、商品がどれだけ高くても最先端の半導体を作ろうとしたらレーザーテックから買うしかないということになります。
だからこそ業績が大きく伸びてきています。

レーザーテック<6920> 業績(SBI証券提供)

レーザーテック<6920> 業績(SBI証券提供)

EUV光における検査装置を発売したのが2019年で、そこからの業績・株価の伸びはすさまじいです。

レーザーテック<6920> 週足(SBI証券提供)

レーザーテック<6920> 週足(SBI証券提供)

株価は2,000円くらいのところから今や3万5,000円くらいと約15倍にもなっています。

東証の中でも取引が活発な企業で、多くの日で売買代金が東証で一番となります。
時価総額3.3兆円で、日経平均にも採用されました。

 

原子数個単位という微細な作業を要する半導体を製造する際に必要な検査装置を作っているのがレーザーテックで、TSMC、Intel、Samsungといった世界最先端の半導体を作る企業に導入しています。

空売りファンド「スコーピオン」が動いた

「空売りファンド」とは、基本的に空売りを専門とするファンドのことです。
空売りとは要するに、株価がこれから下がることに賭けるという投資手法です。

単純に待っているという方法もあるとは思いますが、空売りを仕掛けている企業のダメなところをあえて世間に公表することによって株価の下落を誘う動きをします。
特に会計的なところから攻めてくることが多い印象です。

日本でもかつてサイバーダインや日本電産(現ニデック)に対して空売りレポートを出したファンドがありました。

 

「レポート」というものがグレーな存在で、嘘を書いていたら風説の流布などの金融商品取引法上の犯罪に該当するのですが、会計の話となると、虚偽ではなく解釈の問題と捉えられるわけです。
解釈には唯一の正解は無く、周到に法的に問題の無い範囲で書かれていて、一見すると納得感のある内容となっています。

 

今回のスコーピオンのレポートは現地調査もかなり行っていて、横浜の工場をタイムラプスカメラやドローンを使って撮影するなど、執念深さを感じます。

Next: 空売りレポートの中身は?レーザーテックの株価はどう動くのか

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー