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シャープ「液晶撤退」から見えてくる電気自動車の暗い未来。ビジネス寿命は驚くほど短命に?=今市太郎

老舗シャープがとうとう大型液晶パネルの市場から徹底という話を聞きますと、四半世紀もビジネスが持たなかったことにいまさらながら驚く状況となっています。そしてこの液晶デバイスビジネスの終焉を見て強く危惧されるのが、電気自動車(EV)ビジネスです。(『 今市的視点 IMAICHI POV 今市的視点 IMAICHI POV 』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市的視点 IMAICHI POV』2024年5月19日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

「液晶のシャープ」が液晶から撤退へ

先ごろシャープが大型液晶の国内工場を閉鎖するというニュースが流れました。

シャープと言えば90年代後半から2000年台破竹の勢いで液晶パネルの開発にまい進し、地デジ化で国内のテレビ受像器が一斉にリプレイスされるという好機会にも恵まれて、大きな利益を稼ぐビジネスに成長したことが思い出されます。

ただこうした黎明期の先行者利益を確保することは長く続きません。

中国勢の低価格パネルの出現で、当時1インチ1万円などと言われたテレビモニターの価格はあっというまに10分の1までシュリンク。

老舗シャープがとうとう大型液晶パネルの市場から徹底という話を聞きますと、四半世紀もビジネスが持たなかったことにいまさらながら驚く状況となっています。

シャープ<6753> 週足(SBI証券提供)

シャープ<6753> 週足(SBI証券提供)

80年代に『会社の寿命』という本が流行ったことがありますが、「せいぜいもって30年」と記されたこの本の内容が実は相当当たっていたことが思い出される状況です。

2000年初頭にiPodから始まってスマートフォンへとアップグレードされたiPhoneは同じ時期を経過しても市場を崩すことはなくさらに進化を遂げようとしていますから、液晶などのデバイスに依存せず、商品としてトータルなサービスを提供することがいかに重要であるかも強く感じさせられるものがあります。

電気自動車(EV)も液晶ビジネスと同じ道をたどる?

シャープの液晶デバイスビジネスの終焉を見て強く危惧されるのが、EVビジネスです。

EVは単独のデバイスでできているものではなく、れっきとした総合商品ではありますが、その実態はと言いますと、商品価格のほぼ4〜6割ほどがリチウムイオンバッテリーの価格であり、今後この搭載バッテリーの価格が急激に下落するようなことになると、中古車市場での先行商品のリセールバリューは著しく低下することが予想され始めています。

今のところこのリチウムイオンバッテリーは液晶ほど短期間に値下がりはしていませんが、この先の下落は必至の状況です。

米国では先行して新商品を選ぶユーザーがテスラのクルマを新車購入してきましたが、3年程度経って中古車として手放すことになると想定以上にリセールバリューが低く、EVをこなれた価格で購入するという中古車市場もうまく形成されていないことが顕在化しつつあります。

Next: 中国でもEV中古車ビジネスは成り立たず。衰退は想定よりも早い?

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