JTは買いか?売りか?
もう一度株価の動きを見てみましょう。

日本たばこ産業<2914>週足(SBI証券提供)
24年5月24日終値時点のPERは17.4倍です。過去10年の平均PERは14倍ですから、好調な業績が市場に評価されていることがわかります。同日の配当利回りは4.35%です。過去の配当利回りでは7%代という時もありますから、やや割高感を感じるかもしれません。
現状、株価が好調な大きな要因はやはり値上げ効果です。24年12月期の通期利益は減益予想です。それは医薬事業の売上減少が影響するとしていましたが、24年12月期1Qの実績は営業利益で前年比プラスです。ここでもたばこの値上げが効いています。
さらに、成長戦略の1つであるRRPもそのシェアを伸ばしています。
出典:決算説明資料
以上をまとめて、売買判断を考えます。
まずはJTホルダーの方へのメッセージです。
配当金目的の人は基本的には売る必要はないと思います。配当金は国の収入になっており、大株主が国であることを考えると、基本的には積極的な姿勢を崩さないと考えられます。とはいえコロナ禍のように業績が悪化した場合は減配されてしまう可能性もあります。やはり今後の業績を見守る姿勢が良さそうです。
ポートフォリオの調整で少し売る、という選択肢もあると思いますが、やはり配当銘柄としてポートフォリオの一部に加えて良いと思います。
一方で難しいのは今買うか?という判断です。
配当利回りは高いは高いのですが、「昔は7%あったし高値掴みにならないか?」など不安になると思います。
しかし冷静に考えると、
- 今後も値上げ効果による成長が期待できる
- 戦略上の成長ポイントはRRPの拡販であり、目先の状態は悪くない
このような現状が、期待(PER)を押し上げていると考えます。
したがって、JTの今後の事業成長に期待し、中長期的に配当金を受け取りたいと考えるのであれば購入を検討しても良いと思います。投資のタイミングに絶対の正解はないのですが、配当目的であれば、配当利回りを一つの参考にするのも良いと考えます。3つのリスクも理解しながら、投資判断をされてください。
※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取り扱いには十分留意してください。
『
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
』(2024年5月28日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。