配当金は継続する?
また、JTへの投資を考えると、配当金の議論にもなるでしょう。JTの配当金は長期的に増加しています。
出典:マネックス証券
JTの配当性向の目安は、75%±5%の範囲としています。つまり、利益の7〜8割は配当金で還元する方針なのです。そして、JTの大株主は財務大臣(国)です。
出典:株探
つまり政府にとって配当収入は重要であることから、利益成長が続くのであれば、積極的な配当還元は継続されるものと考えます。とはいえ、業績の変動や急激なたばこの規制強化などが発生すれば減配の可能性はないことはありません。この辺りへの注意は必要ですが、基本的には配当に積極的な企業です。では、JTの今後の利益成長はどのようなことが考えられるのでしょうか?
今後の成長戦略は?
JTの将来の成長を考える上でキーワードとなるのはRRPと呼ばれるたばこです。
RRPとはReduced-Risk Productsの略称であり、喫煙に伴う健康リスクを低減させる可能性がある製品です。具体的には高温加熱式たばこ(Heated tobacco sticks 以下、HTS)です。
出典:決算説明資料
このRRPの成長が、たばこ事業の成長を押し上げるとしています。しかし、JTのたばこ事業におけるRRPの影響力は現時点で大きくはありません。
出典:2023年度決算レポートより作成
というのも、この加熱式たばこの領域はアメリカのフィリップ・モリス・インターナショナルの「IQOS(アイコス)」が先行し、JTの国内シェアは10%にとどまっています。世界市場に目を向けると、状況はさらに厳しいのです。
この状況の中でどうやって成長していくのでしょうか?
JTの加熱式たばこであるPLoomXの開発に関わっている山口氏は東洋経済のインタビューで以下のように語っています。
日本やイタリアは加熱式の成熟市場。アイコスが先行しているので、アイコスのユーザーをいかに獲得するかが重要になる。後発なので、デバイスは競合より安い価格で販売している。
チェコ、スイス、イギリスなどは加熱式が未成熟の市場。加熱式にどんな特徴があるのか知ってもらい、試して使って、慣れてもらう段階を踏んでいくことになる。その過程にしっかりコストをかけていく。
先に述べた値上げも業績の押し上げ要因になりますが、比較的新しい市場であるRRPの販売を伸ばせるか?これが今後の成長を左右するポイントになりそうです。では、JTに投資するリスクはないのでしょうか?
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