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大塚家具の株主総会、会場代や切手代など委任状争いでかかったお金を試算

経営者には「会社のために本当にすべきことは何なのか」という視点を持って欲しい

そろそろ報道も落ち着いてきましたが、今回まで、大塚家具を取り上げてまいります。また動きがあった時には、随時触れていこうと思っています。

さて、株主総会の会場でも、カネ勘定をしてしまうのが、公認会計士の悲しい性。先日出席した大塚家具の株主総会でも、会場代がいくらかかっているのか気になったり、弁護士さんを何人も配置するのは意外と高額なのではないかと考えたりしてしまいました。

株主総会前に株主に送付された郵便物もたくさんありました。株主総会招集通知、提案株主である大塚勝久氏からの委任状の入った封書が2通、会社側からの株主説明会に関するはがきが2通。なお、株主総会招集通知には、会社からの委任状が同封されていました。

大塚家具の株主は約5000人です。仮に封書を送付するのに書類作成と印刷、そして切手代など合わせて300円必要だとしても、2回送付すればすぐに300万円です。上場企業にとっての300万円ですし、勝久氏からの封書は勝久氏の費用でしょうから、目くじらを立てるほどのことではないのかもしれません。とはいえ、委任状争い(プロキシーファイト)をしなければ必要のなかった出費であると考えると、もったいないと思います。

余計な費用といえば、会社主催の個人株主向け事前説明会もありました。丸の内で1回、新宿で1回。私は丸の内会場の説明会に参加しました。会場費用自体は10万円程度だと思いますが、そのために時間を割いている社長やスタッフの人件費など、積み上げていけばそれなりの金額になるでしょう。

ましてや、大塚家具は前期、赤字でした。保有していた他社の株を売却することで、最終損益はかろうじて黒字でしたが、営業的には赤字なのですから、本来は余計な経費をかけている場合ではありません。

創業者と後継者が対立する構図となった以上、委任状を獲得するための経費は必要経費かもしれません。また、今回は結果的にかなりの広告宣伝効果もあったと考えればむしろ安いとも言えますが、「会社のために本当にすべきことは何なのか」というシビアな視点を経営者には持っていて欲しいと思います。

ところで、今回のような委任状争奪戦が生じた場合、気を付けなくてはいけないことがあります。それは、委任状の勧誘に関して、いろいろな法律の規制があるということです。上場企業では、委任状の勧誘(委任状を提出してください、という株主へのお願い)は、禁止されていて、一定の手続きや、一定の条件をクリアしないと、罰則があるのです。法律の解釈には難しいところもあるのですが、軽々しく「みなさん、委任状を出しましょう!」などと呼びかけると、委任状の勧誘に関する法律違反となりかねませんから、注意してくださいね!

『平林亮子の晴れ時々株主総会』2015年4月20日号より一部抜粋

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