キャリアデザインマガジン

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メルマガ名
キャリアデザインマガジン
発行周期
隔月刊
最終発行日
2017年10月13日
 
発行部数
3,186部
メルマガID
0000140735
形式
PC・携帯向け/テキスト形式
カテゴリ
教育・研究 > 科学・研究 > その他

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メールマガジン最新号

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□□
□    キャリアデザインマガジン 第134号 平成29年10月13日発行
     日本キャリアデザイン学会 http://www.career-design.org/

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 「キャリアデザインマガジン」は、キャリアに関心のある人が楽しく読める
情報誌をめざして、日本キャリアデザイン学会がお送りするオフィシャル・
メールマガジンです。会員以外の方にもご購読いただけます。
 ※等幅フォントでごらんください。文中敬称略。

□ 目 次 □-----------------------------------------------------------

1 学会からのお知らせ

2 キャリア辞典 「休日・休暇」

3 私が読んだキャリアの1冊(1)平田オリザ『対話のレッスン』

4 私が読んだキャリアの1冊(2)大竹文雄『競争社会の歩き方』

5 キャリアイベント情報

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1 学会からのお知らせ


◆「キャリアデザインライブ!」第5回を開催します。

 日 時 2017年11月17日(金)19:00~20:30
 会 場 明治大学駿河台キャンパス リバティタワー11階 1115教室
     (東京都千代田区)
 テーマ 「障がい者雇用を改めて正しく知る、障がい者雇用を支援する人を
      考える」」
 ゲスト 阿部潤子 (株)コネクティングポイント代表
     田中潤  (株)ぐるなびサポートアソシエ社長
 参加費 会員/無料 一般/3,000円
 定 員 50人 ※先着順
 詳 細 http://www.career-design.org/pub/t077.html

  申し込みはこちらからhttps://www.event-u.jp/fm/index.cgi?id=310


◆第12回中京支部研究会(きゃりあ“ミニ”りゃーぶ)を開催します。

 日 時 2017年10月28日(土)14:30~17:00
 会 場 名古屋大学教育学部2階第3講義室(愛知県名古屋市)
 テーマ 「キャリアの研究」について考える
 講 師 金井篤子 名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授
 発表者 今永典秀 岐阜大学地域協学センター特任助教
     三井 栄 岐阜大学地域科学部教授
     胡田裕教 名古屋大学大学院博士後期課程
 司 会 船津静代 名古屋大学学生相談総合センター准教授
     高綱睦美 愛知教育大学学校教育講座講師
 参加費 会員/無料 一般/3,000円
 定 員 50人 ※先着順
      研究会終了後、懇親会を予定しております。会費4,000円
 詳 細 http://www.career-design.org/pub/sonota.html#12

  申し込みはこちらからhttps://www.event-u.jp/fm/index.cgi?id=374


◆関西支部第8回研究大会を開催します。
  
 日 時 2017年11月5日(日)14:00~17:30
 場 所 関西大学千里山キャンパス第三学舎4号館4階D401(大阪府吹田市)
 定 員 40名
 参加費 会員/無料、一般/3,000円(事前申込み制)
     大会終了後、懇親会を予定しております。会費3,000円程度
 詳 細 http://www.career-design.org/pub/k008.html

  申し込みはこちらからhttps://www.event-u.jp/fm/index.cgi?id=377


◆2018年度研究大会の日程・会場が決まりました。

 日 時 2018年9月15日(土)・16日(日)
 場 所 関西大学千里山キャンパス(大阪府吹田市)


◆学会ウェブサイト(http://www.career-design.org/)、フェイスブック
 (https://www.facebook.com/careerdesigngakkai)随時更新中です。
 ぜひご一読ください。

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2 キャリア辞典


 「休日・休暇」


■休日・休暇のマネジメント

 一億総活躍社会の実現に向けた取り組みとして、「働き方改革」のゆくえに
注目が集まっている。このコーナーでも何度か取りあげられたが、その内容は
同一労働同一賃金による非正規労働者の処遇改善、長時間労働の是正、テレ
ワークなど柔軟な働き方に向けた環境整備、育児・介護と仕事の両立支援など
多岐にわたる。特に、長時間労働の是正には、時間外労働の削減だけではなく、
休日・休暇のマネジメントも合わせて考える必要がある。そこで、今回はこの
点について取り上げる。

■休日の定義

 まず、休日と休暇について確認しておこう。「休日」とは、労働契約におい
て労働義務がないとされている日をいう(厚生労働省労働基準局編(2011)
『労働基準法(上)』)。また、労働基準法(以下、労基法)第35条では、
「使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならな
い。」としている。例えば、土曜、日曜を休日とする週休2日制を採用してい
る事業所では、土曜日に出勤させたとしても、その週の日曜日に休みを与えて
いれば、法律上は問題がない。この「毎週少なくとも1日」の休日を法定休日
と言い、法定休日を確保し、それ以上に就業規則など労使で決めた休日(先の
例では土曜日)を法定外休日と呼ぶ。

 週1回の休日が与えられている限り、国民の祝日(成人の日や勤労感謝の日
など)については、休ませなくても違法とはならない。なお、労基法35条第2
項では例外的に「4週間を通じて4日以上の休日」を与える限りは、違法になら
ない、としている。

 このように、一週一休日のいわゆる「週休制」を原則とするものだが、これ
は宗教上の安息日に由来し、特にキリスト教国における安息日の慣習が労働時
間の規制と結びついて週休制となった、とされる(菅野和夫(2017)『労働法
第11版補正版』弘文堂)。

 国際的には、1LOが1921年に「工業的企業に於ける週休の適用に関する条
約」(14号)を採択し、週休制を国際的基準として確立。その後、欧米諸国では
1950年代から60年代にかけて、労働協約によって、週休2日制が一般化した。
わが国でも1960年代半ばより、月l回、月2回、隔週などの週休2日制が大企業
を中心に採用され、特に87年の労基法改正以降に普及した。

 厚生労働省「平成28年就労条件総合調査」によると、「何らかの週休2日
制」を採用している企業は全体で88.6%とほぼ9割に上り、このうち「完全週
休2日制」は49.0%となっている。「完全週休2日制」の採用率を企業規模別に
見ると、1000人以上の大企業では69.1%であるのに対し、中小企業の100~299
人では49.6%、30~99人では47.2%と規模により違いが見られる。また、1企
業平均の年間休日総数は108日、労働者1人平均では113.8日となっている。

■休暇の種類

「休日」が、法規制や制度によって必ず休ませなければならない(労働義務を
免除した)日であるのに対して、「休暇」には様々な種類がある。

 まず、労基法で規定されているのが年次有給休暇(年休)であり、法定の休
暇は、これ以外に育児・介護休暇、看護休暇などがある。

 一方、法定を超えて与えられる休暇として、労使協定や就業規則で決める慶
弔休暇、私傷病休暇、ボランティア休暇などがある。労使に任されている制度
なので、企業により付与水準や運用はまちまちである。

 ここでは代表的な、年次有給休暇(年休)について見てみる。労基法35条で
は「使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割
以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与
えなければならない。」としている。年休は、「労働者の健康で文化的な生活
の実現に資するために、労働者に対し、休日のほかに毎年一定日数の休暇を有
給で保障する制度」(前出菅野(2017))であり、労働者の取得したい時季に
付与するのが原則である。

 6カ月以上の継続勤務者に対しては10日、以降1年ごとに1労働日を加え、2年
6カ月を超える継続勤務については、1年ごとに2労働日ずつを加算し、6年6カ
月で上限の20日を付与しなければならない。このほか、勤務日数に応じた比例
付与の原則や、業務に支障が生じる場合に使用者に認められた時季変更権、5
日以内に限られるが計画的付与や時間単位付与、時効などの細かい規定もある
が、ここでは詳述を避ける。

 先の厚生労働省調査によると、労働者1人平均の年休付与日数は18.1日、取
得日数は8.8日、取得率は48.7%である。ちなみに、総合旅行サイトのエクス
ペディア・ジャパンが行った「有給休暇の国際比較調査(2016)」によると、
主要12カ国中、ブラジル、フランスなど5カ国が100%の消化率であるのに対し
て、日本は最下位(50%)。年休取得に罪悪感を感じる人の割合が、韓国(69
%)に次いで2位(59%)と高い。3位のアメリカは33%で、スペインに至って
は17%と低い。日本人が年休を取りにくい理由として、同調査では「人手不
足」「職場の同僚が休んでいない」等を上げている。

■休み方改革のゆくえ

 働き方改革の実効性はこれから問われていくが、労働政策審議会は去る9月1
5日、時間外労働の上限規制の見直しを含む労基法など関連8法の改正内容を示
した「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」につ
いて報告を取りまとめ、加藤厚生労働大臣へ「おおむね妥当」と認める答申を
行った。その中には、「使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働
者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければならない」とい
う内容も含まれている。

 一方、厚生労働省では、毎年10月を「年次有給休暇取得促進期間」とし、プ
ラスワン休暇や計画的付与の促進を呼び掛けている。また、今般「労働時間等
の設定の改善に関する特別措置法」(平18.4.1)に基づく「労働時間等見直し
ガイドライン(労働時間等設定改善指針)」(平成20年厚生労働省告示第108
号)を改正し、学校の夏休みなどを分散化し、親も年休を取りやすくする「キ
ッズウィーク」や、転職者でも早期に年休が与えられるように付与の最低基準
を短縮化するなど、年休の早期取得制度の創設等を職場の実情に応じて検討す
ることを事業主に求め、10月1日から適用した。

 こうした動きと並行して、経団連では「長時間労働につながる商慣行の是正
に向けた共同宣言」を公表し、長時間労働につながる商慣行の是正などをトッ
プ自らがリーダーシップをもって実現していくことを明記した。また、建設関
連や運輸関連などこれまで長時間労働が慣習化しているような企業の改善事例
も、報道などで報告されている。 

 政府の掲げる「2020年までに年休取得率70%」の目標を達成するために、行
政や経済団体の旗振りやサポートも大切だが、休暇取得の促進も労使自治の原
則で進めたいものである。

                         (編集委員 石川了)

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3 私が読んだキャリアの一冊(1)


『対話のレッスン 日本人のためのコミュニケーション術』
                     平田オリザ著 講談社学術文庫


 著者の平田オリザ氏は、演劇人であると同時に、大学や大学院で教鞭をとる
教育者でもある。舞台上の人間の行動や思考を理論的にとらえ、日本語での対
話や、日本人のコミュニケーションについて研究している。演劇以外をテーマ
にした最初の一冊である本書は、著者の考える対話論・コミュニケーション論
がぎっしりと詰まっている。

 冒頭、「対話(Dialogue)」と「会話(Conversation)」は、異なるコミュ
ニケーションであることを説明している。
・対話(Dialogue)/他者と交わす新たな情報交換や交流のこと
・会話(Conversation)/すでに知り合った者同士の楽しいおしゃべりのこと

 そして日本語が、「対話」に適した言葉をあまり発達させてこなかった理由
を、歴史的背景や文化から説明する。安土桃山時代以降の約300年、流動性の
低い社会で暮らしていた日本人は、「言葉における他者の不在」が当たり前で、
他者との対話に必要な日本語を必要としなかったのだ。

 『こういった狭い閉じた社会では、村の中で、知り合い同士が、いかにうま
く生活していくかだけを考えればいいのであって、そこから生まれる言語は、
同化を促進する「会話」のためのものが発達し、差異を許容する「対話」が発
達してこなかったのは当然だろう(p174)』と、日本語の対話性の乏しさを
指摘する。

 同時に、日本語の特徴である“敬語”や“男性言葉&女性言葉”が、対話を
阻害する一因であることにも言及する。

 “敬語”には権力性があり、その言葉を向けられた(主に年上の)人は、な
んとなくエライ感じがして、なんとなく正当な意見を言っているように聞こえ
てしまう。こうした現象は、大学生のグループワークでも、ハッキリと表出す
る。学年を確認した途端に、メンバー間の言葉遣いが変化し、力関係があから
さまに変わる。そして「対話」のムードは萎縮してしまう。

 “男性言葉&女性言葉”については、筆者自身にも心当たりがある。

 『女性の社会進出が進み、様々な局面で、女性が男性と対等に話す機会が増
加した。しかし、この社会の変化に、日本語の変化は全く追いついていない。
男性言葉、女性言葉の差は厳然としてあるし、それがときに、男女の役割関係
を旧来のままに固定化する役割を果たしてしまう(P111)』。

確かに、30代の女性上司が、40代の男性部下が対話する場面を考えれば、言葉
の選択が相当にやっかいなことは容易に想像できる。それゆえ著者は、敬語の
民主化や対話のための新しい言葉のルールの必要性を伝えている。

 『新しい時代は、新しい言葉を要請する。その変化になじめない人々は、そ
れを言葉の乱れと感じ批判する(P107)』

『新しい人間関係は、一時的に、従来の敬語の体系を乱す原因になる。(…)
だが私たちは、この乱れを怖れてはならない。新しい、より民主的なコミュニ
ケーションの方法を、時間をかけて生み出していけばいいのだ(P157)』。

 さらに、新しい言葉のルールだけでも足りないと説く。そこには、“対話の
態度”が必要であり、次のようなアプローチを提言している。

・相手に勝つために言葉を駆使するのではなく、真実を知ろうとして言葉を駆
使する
・相手との対立を積極的に見つけてゆこうとする
・相手と見解が同じか違うかという二分法を避け、相手との些細な「違い」を
大切にし、それを「発展」させる
・自分や相手の意見が徒手で変わる可能性に対して、常に開かれている …

 自分の意見を変える気がなければ、対話は成立しないという指摘には、我が
身を振り返りドキッとした。

 私たちの“対話の態度”は心許ない。例えば、顔の見えない相手とSNS上
でやりとりをすれば、ディベート化していき、様々な混乱を招いてしまう。こ
のところ、他者を蔑む発言や他国への悪口といった書き込みを目にすることも
増えた。“対話の態度”を持ちあわせていないことが、互いの断絶を深めてい
るように思う。

 学生のコミュニケーション能力を憂う意見は、日常的に耳にする。この“コ
ミュニケーション能力”には、対話の要素が多く含まれる。では、胸に手を当
てて考えてみたい。私たち大人は、どれほどの“コミュニケーション能力”を
持ちあわせているのだろうか。どれほどの“対話の態度”を持ちあわせている
のだろうか。

 本書の最初と最後に書かれた一節を引用して、終わりにしたい。

 『21世紀のコミュニケーション(伝達)は、「伝わらない」ということから
始まる。(…)私とあなたは違うと言うこと。私とあなたは違う言葉を話して
いるということ。私はあなたがわからないということ。(…)それでも私たち
は、理解し合える部分を少しずつ増やし、広げて、ひとつの社会のなかで生き
ていかなければならないということ(P241-242)』。

 『対話の営みは時間がかかり、ときにもどかしく、非効率だ。それでも私は、
そこにしか希望はないと思う(P7)』。

                        (編集委員 平野恵子)

※「私が読んだキャリアの一冊」は、執筆者による図書の紹介です。
 日本キャリアデザイン学会として当該図書を推薦するものではありません。

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4 私が読んだキャリアの一冊(2)


『競争社会の歩き方-自分の「強み」を見つけるには』
                  大竹文雄著 中公新書 2017.8.25


 2017年のノーベル経済学賞は、行動経済学の草分けであり権威である米シカ
ゴ大のリチャード・セイラ―教授に決定した。一般的な経済学は合理的な個人
を想定するが、現実の個人は感情に左右されるなどして多分に合理的でない。
そうした不合理な個人を念頭に、経済学に心理学を導入して意思決定を分析す
るのが行動経済学だ。その成果は、すでに社会改良に有効に活用されている。
たとえばわが国でも、より安価なジェネリック医薬品(後発品)の利用を増や
して医療費を抑制するために、処方箋の書式を「後発品への変更には医師の許
可が必要」から「医師が先発品を指定しない限り後発品」に変更して成果を上
げたという例が紹介されている。

 この本は、そうした行動経済学の知見をふんだんに生かして、日本社会のさ
まざまな側面を読み解きつつ、「競争社会の歩き方」を説いていく。書名から
はあるいは競争社会の「勝ち方」を指南するハウツー本に見えるかもしれない
が、そうではない。賢明な「歩き方」を考えようと言う本である。

 もちろん、競争は往々にして厳しいし、つらいことも多い。とりわけ敗者は
過酷な現実に直面することもある。そのために社会的セーフティーネットがあ
るとしても、できれば競争はしたくないという人は多いだろう。しかし、私た
ちが消費者として享受しているさまざまな恩恵は、実は競争を通じて生み出さ
れている。競争に参加せずしてその果実のみを得ることは普通できないし、規
制などで競争から保護されている人については、そのポジションを獲得するま
でに激しい競争を経ることが多いだろう。

 決して楽ではない「競争社会」をより賢明に歩いていくためには、できるだ
け合理的に意思決定することが大切になるだろう。しかし繰り返しになるが私
たちは必ずしも合理的ではない。たとえば、同じ案件について意思決定する場
合でも、怒っている人はよりリスク選好的に、おびえている人はリスク回避的
になるという。逆に言えば、ある意思決定をするときに自分の感情を確認し、
怒っているのであれば無用な冒険をしないように、おびえているのであれば無
意味に消極的にならないようにと考えることで、より賢明な意思決定ができる
だろう。この本では、私たちの意思決定がどのような傾向を持ち、何に左右さ
れているのかを多くの事例をひいて説得的に解説している。

 また、最初に紹介したように、競争社会で人々がより賢明に振る舞うような
政策誘導にも行動経済学は貢献している。ジェネリック医薬品の例は、私たち
は比較的重要でない意思決定には手間をかけようとしないという傾向を応用し
たものだ。先発品でも後発品でも効能が変わらないとなると、医師はわざわざ
手間をかけてどちらかを指定しようとはせず、処方箋の書式の初期設定(デフ
ォルト)のままにする傾向がある。であれば、デフォルトを先発薬から後発薬
に変更することで後発薬の使用を増やせるという寸法だ。このような、人々が
より望ましい行動をとるようにしむけるちょっとした働きかけを、ノーベル賞
受賞が決まったセイラ―は「ナッジ(nudge)」と呼んだ。この本では、こう
したナッジの事例もふんだんに紹介されている。

 ここまで読んで、あるいは「なんとなく難しい本」との印象を持たれたかも
しれない。しかし、そういう印象を与えたとすれば評者の力不足であり、むし
ろこの本の最大の特色は非常にわかりやすく、読み物としても面白いという点
にある。新聞広告などで話題になった「チケット転売問題」から説き起こし、
ゆるキャラや落語・小説、プロスポーツ、テレビドラマなど、身近で親しみや
すい、読者が関心を持ちやすい題材をうまく生かしながら、楽しく行動経済学
の知見とその応用が理解できるように書かれているし、最後は格差や技術革新、
高齢化といった重い課題に到達している。テレビ出演者やエッセイストとして
も活躍し人気を博している著者の面目躍如というところだろう。

 この本は、同じく中公新書から出版された著者の『経済学的思考のセンス』
(2005)、『競争と公平感』(2010)の続刊でもあるという。過去2冊は本書
ほど行動経済学色が強くはないが、しかしいずれも楽しく読んで経済学のさま
ざまな知見や考え方を理解できる好著である。本書を読んで関心を持たれた方
には、ぜひこれらにも触れていただくことをお勧めしたい。

                        (編集委員 荻野勝彦)

※「私が読んだキャリアの一冊」は、執筆者による図書の紹介です。
 日本キャリアデザイン学会として当該図書を推薦するものではありません。

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5 キャリアイベント情報
  -キャリアデザインに関係するイベントの開催予定などをご紹介します-


◆高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)「第25回第25回職業リハビリテー
 ション研究・実践発表会

 日 時 2017年11月9日(木)-10日(金)
 場 所 東京ビッグサイト(東京都江東区)
http://www.nivr.jeed.or.jp/news/vrhappyou25-history.html

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【学会活動ニュース】


◆2017年9月2日(土)-3日(日)

 第14回研究大会
 於 成城大学
 テーマ 多様なキャリアの創造に向けて
https://www.facebook.com/careerdesigngakkai/posts/1436003516513827
https://www.facebook.com/careerdesigngakkai/posts/1436148519832660
https://www.facebook.com/careerdesigngakkai/posts/1436259453154900
https://www.facebook.com/careerdesigngakkai/posts/1436418859805626
https://www.facebook.com/careerdesigngakkai/posts/1436881906425988
https://www.facebook.com/careerdesigngakkai/posts/1437192859728226
https://www.facebook.com/careerdesigngakkai/posts/1437207769726735
https://www.facebook.com/careerdesigngakkai/posts/1437211173059728


【編集後記】

 2018年度の第15回研究大会の会場が関西大学千里山キャンパスに決まりまし
た。関西での開催は2010年の第8回大会(神戸学院大学)以来、大阪府では初
めての開催となります。日程は9月15日(土)・16日(日)の2日間となります
ので、ぜひ今からご予定をお願いします。多数のご参加をお待ちしております。
(O)


【日本キャリアデザイン学会とは】

・キャリアを設計・再設計し続ける人々の育成を考える非営利組織です。
・キャリアに関わる実務家や市民と研究者との出会い・相互啓発の場です。
・多様な学問の交流からキャリアデザイン学の構築を目指す求心の場です。
・キャリアデザインとその支援の理論と実践の連携の場です。
・誤謬、偏見を排除し、健全な標準を確立する誠実な知的営為の場です。 
・キャリアデザインに関わる資格、知識、技法、専門の標準化の努力の場です。
・人々のキャリアの現実に関わり、変えようとする運動の場です。

 学会の詳細、活動状況はホームページに随時掲載しております。
 ◆日本キャリアデザイン学会ホームページ◆
   http://www.career-design.org/

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  日本キャリアデザイン学会(CDI-Japan)発行
  オフィシャル・メールマガジン【キャリアデザインマガジン】
 
このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して発
行しています。
 配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000140735.htm
無断転用はお断りいたします。
 このメールマガジンの文責はすべて執筆者にあり、日本キャリアデザイン学
会として正確性などを保証するものではありません。

【日本キャリアデザイン学会広報委員会】

 青木猛正 埼玉福祉・保育専門学校長
 石川 了 労務行政研究所
 内田勝久 富士電機株式会社社長室広報IR部
 荻野勝彦 トヨタ自動車株式会社渉外部
 平野恵子 文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所
 堀内泰利 慶應義塾大学SFC研究所
 松岡 猛 NECマネジメントパートナー株式会社人事サービス事業部
 山野晴雄 中央学院大学講師

   日本キャリアデザイン学会事務局連絡先
    e-mail info@career-design.org
   〒181-0012 東京都三鷹市上連雀1-12-17
   三鷹ビジネスパーク2号館 ぶんしん出版内

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