「大手チェーンの侵攻により苦境に立たされる地元スーパー」という構図がますます深刻になりつつある今、地方の小売店はこのまま滅びゆくしかないのでしょうか。今回の無料メルマガ『販促アイデアと経営活性化』では著者で利益づくりと地域一番店づくりの専門家として活躍中の前沢しんじさんが、通常の4倍の量のちらし寿司を5分で売り切った地方スーパーの戦術を紹介しています。
いつもの4倍の量を5分で売り切った!
地方スーパーは大手スーパーやコンビニにお客を奪われて厳しい経営になりがちですが、自店の強みをどんどん前に出して戦えば勝機は十分あります。
今回のスーパー(地元スーパーのチェーン3店舗)の場合も永年にわたって売上げが減少し続けていましたが、人気のある商品をさらに強く、品種と品数を増やして、積極的な売り込み作戦を執れば突破口はできるという仮定の元、販促キャンペーンを企画実施しました。
得意ワザを伸ばせば自店の独自性が明らかになります。それは競合店対策としてとても効果的で、売上げが計算できます。その実績を積み上げていけば業績が回復基調に乗ってきます。
商品企画
上品な味で人気があった自店製造の「ちらし寿司」。これまで下記3品を常時298円で売っていました。
- ちらし寿司パック(レギュラー商品)
- ちらし寿司といなり寿司とのセット商品
- ちらし寿司とサラダ巻とのセット商品
これを
- アイテムを増やす
- キャンペーン時は価格訴求で思い切って打ち出す
という計画のもと、
- ちらし寿司と細巻寿司のセット商品と
今回の目玉商品である
- ちらし寿司セット(ざるそばサラダ、コロッケ、野菜天ぷら入り)
の2品を追加して、すべて「200円」で、ちらし寿司デビュー!と銘打って販促キャンペーンを実施しました。
販促
● タイトル
自店製造だからできるこの価格!200円ちらし寿司デビュー
● キャッチコピー
お食事に、お弁当に、おみやげに。あきのこないおいしさで人気の〇〇〇ストアの手作りちらし寿司
● 販促ツール
- 新聞広告(地元ローカル新聞)
※実物見本コチラ - 新聞記事掲載(新聞社に取材依頼・無料)
- レジでの手渡しチラシ
- 店頭大型POP広告(1メートル×80cm)
※実物見本コチラ - 売り場でタイトルPOP広告
- 売り場で商品POP「広告
● 陳列
- 下にすだれを敷き、背面にもすだれをかけて雰囲気作り
- 商品は積み上げる
- POP広告
- スポット照明
- 陳列棚に紅白幕
結果
キャンペーン当日。9時30分開店。9時40分にある店長から電話がありました。
「前沢さん大変です。5分で売り切れました!」
「いつもの4倍を準備しましたがあっという間でした」
その他の2店舗も、7分と15分でいつもの4倍量を売ってしまいました。もともと社長には「社長、キャンペーンしたら一気に売れます。10倍は準備してください」と言っておいたのですが、ちらし寿司という手作りの商品である都合上、4倍が精一杯だったらしい。
いずれにしても、自信のある商品をさらに充実させて戦略的に売り込めば、まだまだニーズは喚起できますし、新規客の発掘も既存客の来店頻度アップも可能だということがわかります。
このスーパーでは、その他の商品も矢継ぎ早に売り込みを実施して、2か月後の8月にはこれまで10年以上にわたって昨年対比がマイナスだった客数が前年をオーバーするというV字回復を果たしました。
販促キャンペーンとは
「これを売るぞ!と決めて、戦略的に準備して、さまざまな販促ツールを展開して、一気に売り込む」ことです。売上げ効果は、商品や価格ややり方などで変わってきますが、最低でも1,2倍から、今回のように10倍も可能です。
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