老若男女問わず人気のお笑い芸人、明石家さんまさん。何十年もお茶の間に笑いを届けられるその秘訣を、無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』の著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが「これはどの業界でも同じである」として、詳しく記しています。
お客様感覚を養う
お笑い芸人として、長年第一線で活躍されていて、皆さんもよくご存知の明石家さんまさん。私も大好きな芸人さんですが、何十年経っても、お茶の間に素敵な笑いを届けてくれていますよね。
しかし、普通に考えても、何十年もお笑いの世界にいて今も昔も同じように笑いを取り続けるというのは、とても難しい話のように思えます。徐々に業界の感覚に染まっていってしまい、一般の視聴者とは感覚がズレてきてしまえば、一言ひとことの言葉にも違和感を感じて、視聴者は笑ってくれなくなってしまいます。現に、多くの芸人が現れては消えを繰り返しているほど、とてもシビアな世界だと感じるのです。にも関わらず、さんまさんは、ずっとトップに近いところで活躍を続けています。
そんな明石家さんまさんが、以前にこんな話をラジオでされたことがあります。
「お笑い芸人は、大根の値段を知っておかなアカン。スーパーの大根の値段を知っておいて、『値上がりした』と主婦がボヤいているのを、自分が笑いに変える」
あれだけ業界で大物とされていて、言うまでもなくとんでもない金額を稼ぎ続けている一流のお笑い芸人であるさんまさんが、「スーパーの大根の値段を知っておかなければいけない」と言っていたのです。これこそが、お客様感覚を養うということだと思います。
さんまさんが言いたかったのは、本当に大根の値段を知っておくかどうかではなくて、テレビで自分を見て、笑ってくれる視聴者と同じ目線を忘れないようにしようという話でしょう。そしてこれは、すべての業界に通じる話ではないでしょうか。
例えば、洋服の販売員を長年やっていると、洋服に囲まれる生活が当たり前になっていきます。その日に着る洋服だって、数ある洋服の中から悩んで決めるというのが普通になっていくわけです。
でも、お客様が同じ悩みを持っているかというと、そうではありません。一般のお客様は、洋服を売っている販売員ほど、多くの種類の洋服を持っているわけではありません。だから、その日に着る洋服を選ぶときも、そんなに多くない種類から、「いつも同じもの着てると思われないように」とか、「少しでもオシャレに見えるように」といったことを考えながら洋服を選ぶわけです。同じように洋服を選ぶ際の悩みも、業界にずっといる人と、一般のお客様とでは、全く違う悩みになっていくのですね。
そんな感じで悩みが違うのにも関わらず、「この洋服はこんなものと合わせるといいんですよ。持ってるでしょ?」という接客をしても、お客様としては、「この人とは感覚が違うんだな」と感じてしまいます。そのズレのせいで、お客様は販売員のことを「自分の悩みを理解してくれない違う世界の人」という認識してしまい、信頼も失っていくものです。
だから販売員も、一般のお客様と同じ目線を忘れないようにする意識を持っていなければいけません。一般のお客様、業界の人間ではないお客様は、どんな生活をしているのか? どんな感覚を持っているのか? そういうリアルなお客様感覚を、常に忘れないように考えておかなければいけないのです。
「自分はたくさん洋服を持っているけれども、普通のお客様はそんなことないはず。だったら、限りある種類の中でコーディネートを組むにはどうしたらいいんだろう?」
こうやって、自分たち業界の人とは違う、一般的なお客様が感じる悩みを考えられるでしょうか。そしてその悩みを解消する手助けはできるでしょうか。もちろん、初心者的なお客様もいれば、上級者的なお客様や、その間の中間層のお客様もいて、それぞれでお客様の感覚も違います。自店にやってくるお客様にはどんな人たちがいるか、それぞれのお客様感覚を知るためには、どんな意識を持って日々の生活を送らなければいけないか。ぜひ考えてみてください。
今日のおさらいです。
・お客様と自分たちの感覚にズレが生じていないか考える。ズレがあるとしたら、どんな意識や行動でお客様感覚を養うべきか考えてみる。
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