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竜馬も駆け抜けた路。京都・木屋町に幕末の志士の息遣いを聞く

ほんの150年ほど前の幕末時代、全国から集結した志士たちが駆け巡っていた京の都。彼らの面影を追い求め、京都を訪れる方も少なくありません。今回の無料メルマガ『おもしろい京都案内』では著者の英学(はなぶさ がく)さんが、そんな古都の中でもとりわけ多くの志士が闊歩したとも言われる高瀬川沿いを案内しています。

幕末の志士が駆け抜けた場所・木屋町

京都の中心を北から南に流れる鴨川は有名で、5月からは毎年恒例の納涼床が店の軒先から張り出されます。京都の夏の風物詩ですね。今回はこの川のすぐ西側に並行して流れるもう一つの有名な川・高瀬川沿いを少しご案内します。

高瀬川沿いと言えば、先斗町や木屋町通と言ったら京都屈指の繁華街です。京都の中心である四条河原町からすぐのところです。幕末期に維新の志士が闊歩し、近代日本について熱く語りあった若き青年達の足跡が数多く残ります。特に四条通から北上して御池通を少し過ぎた辺りはまさに歴史散歩を楽しむことが出来るエリアです。

まずは四条通から北上してみましょう。角にマツモトキヨシがあるあたりからです。まずは左手に元・立誠小学校が見えてきます。

image by: WikimediaCommons(Razgrad)

モダンで懐かしい風情を残すこの小学校では常に何かしらのイベントが開催されています。ちなみに坂東藤十郎さん中村玉緒さん近藤正臣さんなどはこの小学校の卒業生です。

ここに角倉了以すみのくらりょうい)と高瀬川の沿革を表した案内板があります。角倉了以は、江戸初期の京都の豪商で、海外貿易や各地の河川の改修などで財を成した人です。高瀬川は京都の中心部と伏見の物流をよくするために角倉了以が江戸時代に作った運河です。

当時は伏見には港があり大阪から多くの物資が船で運ばれていて京都の物流の拠点でした。そのため京都市内中心部の便利なこの川沿いに、いくつもの藩が藩邸を建てました。元・立誠小学校は土佐藩藩邸跡の碑が立っています。

土佐出身の坂本龍馬などはこの辺りを闊歩していたことでしょう。木屋町通沿いの右側には「お龍独身時代寓居跡」があります。その先の「龍馬通」と名付けられた所には「坂本龍馬寓居跡」もあります。少し上がったところ、三条通にはあの「池田屋騒動跡」もあります。今は「池田屋」という居酒屋になっています。

龍馬以外でも、明治新政府の下で軍制近代化に尽力した大村益次郎勝海舟や吉田松陰など多くの門人を出した佐久間象山など、幕末期の日本の歴史を動かした人物の碑沢山立っています。日本の行く末はまさにこの細い通りで語られ形作られていたと思うとロマンを感じます。

木屋町通とさらに北に進み東西を走る御池通を横断すると、右側に桂小五郎と愛人・幾松の寓居跡があります。「幾松」は今でも当時の建物を改築して高級日本料理の店として有名です。

江戸時代に荷物を積んだ船が再現されている「一の舟入」まで来ると、ほぼ高瀬川の源流に着きます。近くにある二階建ての白壁の建物が島津製作所発祥の地で今は、「島津製作所 創業記念資料館」です。島津製作所が創業100年を迎えたのを記念して、創業間当時の社屋を資料館としてよみがえらせたのがこの資料館です。ノーベル賞受賞者・田中耕一さんのコーナーもあります。

島津製作所創業記念館の向かいに、「がんこ高瀬川二条苑」があります。居酒屋のチェーン店の一つなのですが実はこの場合、角倉了以の邸宅跡なのです。建物の奥にある広い庭園は、約400年前に角倉了以の別邸として建てられたものだとか。その後、明治の元勲・山縣有朋、第3代日本銀行総裁・川田小一郎などが所有した由緒ある場所なので一度訪れてみて下さい。

image by: WikimediaCommons(江戸村のとくぞう)

庭の隅に茶室もあり、江戸時代を代表する作庭家で茶人の小堀遠州作の茶庭も残っています。広い庭には、滝や、早瀬、浅瀬などがあるのですが、実はこの流れが高瀬川の源流なのです。角倉了以は自分が開削した川の一番上流に邸宅を構えて庭の池にその水を引き込んでいたんですね。

いかがでしたか? 京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほんの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。

 

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毎年5,000万人以上の観光客が訪れる京都の魅力を紹介。特にガイドブックには載っていない京都の意外な素顔、魅力を発信しています。京都検定合格を目指している方、京都ファン必見! 京都人も知らない京都の魅力を沢山お伝えしていきます。

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【著者】 英学(はなぶさ がく) 【発行周期】 ほぼ週刊

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