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なぜ大成功したレストランの店長は、断固として視察を拒否したか

店を任されている者として、他店を視察するのはごく一般的な行為ですよね。しかし、「視察で学んだ案は必ず詰まる」とするのは無料メルマガ『販促アイデアと経営活性化』の著者、前沢しんじさん。今回前沢さんは、コンサルタントを担当しているとある焼肉レストランの店長の話を例に上げ、その理由を詳しく解説しています。

視察より自分のあたまで考えて大ヒット

以前コンサルをしていたある焼肉レストランの話です。

店長はもともと精肉チェーン店の店長で人口2万の田舎町で年商1億2,000万をたたき出していた腕利きでした。そのチェーン店が初めて焼肉しゃぶしゃぶレストランを開業することになり、未経験だが食べることが大好きな彼を店長に任命したのです。

もともと中華料理が大好きで、肉屋さんの営業終了後、中華料理店の店主に頼みこんで、厨房で修行するほどの熱心さをもつ人でもありました。焼肉レストランを開店してその初代店長になった彼は、もともと肉はプロですから、順調に営業成績を伸ばしていきました。

2年くらいたったころ売り上げも一段落というか、頭打ちになってきました。私は「Wさん、いちど大阪あたりへ視察に行かへんか」と他店視察を誘ってみたのです。その時の彼の返事が

「前沢さん、おれはひとの頭よりまず自分の頭を耕すよ
「自分で次の策を考えてみる。協力してよ」

私は言いました。

「Wさん、そう言うと思ったよ。ただ資料を揃えたり販促のこともあるし、定期的に打ち合わせをしよう」

「ぜひ!」

2週間くらいたって彼から電話がありました。

「前沢さん、ひとつ相談がある」

二人の定期会議

W 「焼肉食べ放題2,980円はどうだろうか

 「いいね!(即答)。メニューとか考えてあるんでしょ?」

W 「シンプルに3種類の食べ放題メニューと、あと飲み放題も1,980円でやりたい」

 「よし、それで行こう!」

荒利構成はどうするだとか、人員のオペレーションはどうするだとか、そんなことは聞きもしない。彼はプロだから全部あたまに入っているはずと信頼しているから。私が言ったことは

「じゃ、1週間以内にメニューだけ出してくれる?」

それだけあれば販促全体を企画して、商品撮影をして広告を作って、販促物を作って、全店会議へ出す資料を作れる。

彼も販促はどうするんだとか、販促予算はどうするとか社長の決済はどうするだとか聞きもしない。それらは全部前沢がやると信頼している。

結果と、だいじなこと

結果的にその企画は大ヒットとなり、その後のそのお店の主力商品となりました。

じつはちょうどそのころ、時を同じくして「焼肉食べ放題が全国的なブームになったのです。もちろん彼はそんなことは、つまり世間がどうとかは知りません。彼がこの企画を思い立ったきっかけは、商売の原点に立って考えたことでした。それは

  1. 自分なら何を食べたいか
  2. お客さまが喜ぶか

だけです。シンプルです。

視察に行って「食べ放題が流行っている」を学ぶところからスタートすると、あくまでそれは他人の考えの延長線上にしかすぎないのです。その場合初動はうまくいっても展開の段階で必ず詰まる。なぜなら、自分で全体像を描けてないから。人まねの弱点はそこにある。

何でも自分で呻吟して、さらにいえば血のションベンするくらい考えて、初めて自分のものになる。教えを乞う前に、いや教えなど乞わないで、自分の頭で考えよう。

彼は言った

「おれは何を食いたいかを自問してみた。おれは色々な肉を値段を気にせず腹いっぱい食いたい。その結果、食べ放題というアイデアが浮かんだ。次にお客さんが喜ぶかを考えてみた。おれが客ならうれしい、というのが答えだった」

シンプルだ。困った時は何をしたいのかそれでお客様が喜ぶか。そこから再スタートすればいい。主人公はお客様。そこをいかに喜ばすか。真実はシンプル。

image by: Shutterstock.com

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30年以上の販促・営業企画の経験から「こうして売上げを伸ばした!100のアイデア」というテーマで、実際に行った実例を具体的に紹介します。販促以外にも経営活性化に役立つアイデアがたくさん。前沢しんじの販促ビジネス本はアマゾンや大手書店でランクイン。雑誌「月刊商業界」にも販促特集などを執筆しています。

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【著者】 前沢しんじ 【発行周期】 ほぼ 週刊

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