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インスタ映えばかり狙う大盛り店がすぐに飽きられてしまうワケ

おもてなし、ホスピタリティなどの言葉を多く耳にする昨今、本当の言葉の意味を理解して実際に体現しているお店はほとんどない、と断言するのは無料メルマガ『ビジネス真実践』の著者で戦略コンサルタントの中久保浩平さん。今回、中久保さんは、本当のおもてなしの意味を大阪のとある喫茶店を例に出して紹介しています。

インスタ映えとおもてなし 狙わないサービスだからこその「いいね」

大阪の中心梅田に知る人ぞ知る喫茶店「喫茶Y」という名店があります。喫茶Yではモーニングセットではなくブレックファーストを提供しています。

モーニングとブレックファーストの違いってご存知でしょうか? ママさん曰く、モーニングはコーヒーが主役で、トーストや玉子、サラダがついてくる。ブレックファーストは、トーストや玉子、サラダが主役でコーヒーがついてくる。のだそうです。

現在から38年前の開業当初、喫茶Yでもモーニングセットをお客様に提供していたのですが、お客様の表情を見ていると、「なんだか物足りないな~」という方が多く、「トーストもう1枚サービスでお焼きしましょうか?」ってことをいうと、みんな喜んで食べてくれたそうです。そこから、ママさんのスイッチが変わりました。

お客様は自分の子供として迎えよう

我が子には朝からしっかり食事を取って欲しい、をモットーにモーニングではなくブレックファーストを提供するようになりました。そして、そのこだわりが通常では考えられない超ド級のボリュームへと発展していったのです。

トーストは、食パン1斤。スクランブルエッグに使う玉子は16個。ベーコンは、9枚。アイスコーヒーは中ジョッキこれが1人前なのです。やり過ぎっていわれればやり過ぎなのでしょうが。開店当初からこのボリュームで提供しているのです。いってみれば、ママさんの「お客様を自分の子供として迎える」という思いがそうしたカタチになっているのです。ですから、大盛りの量を60分以内に食べたらタダ、とかっていう話題作りを狙って、というのではありません。

こうしたサービスが評判を呼び、連日お客様で一杯。ランチタイムも時間をずらしても一杯。という状況が続いています。しかも、転勤で大阪を離れたお客様がたまに出張で大阪に来るときは、必ず顔を出すという常連さんも多いようです。これもいってみれば「お客様を自分の子供として迎える」というママさんの思いがそのままお店の空気、カタチになりお客様に伝わっているのでしょうね。

ちなみに「さすがに、そんな量を食べられない」というお客様もいらっしゃるのできちんと最初に量の説明をし、無理な方には少量でも提供されています。それでもボリューム満点なのだそうですが。

サービス業ではよく「おもてなし」とか「ホスピタリティ」という言葉が出てきます。ですが、実際は言葉だけが一人歩きしているお店がほとんどです。「当店はお客様に最高の満足を得て頂くためにホスピタリティを提供しています」。言葉は立派だけど、具体的にどのように何を提供しているのかがわからないのです。

と、このようなことをいうと、「いやっ、うちは心をこめてお客様をおもてなししています」なんて反論があるかも知れませんが、それを体現しないことにはお客様には伝わりません。本当に心を込めてお客様をもてなした場合、それはカタチとなっていなければ伝わらないのです。

また現在では、インスタ映えを狙ってボリューム満点のサービス等を提供するところも多いですが、一過性のものがほとんどで、すぐに飽きられておしまいです。喫茶Yは、狙ったサービスではなく、インスタが登場するずっと前から一貫して「お客様を自分の子供」という考えで迎えています。それがブレックファーストというカタチで、お客様をもてなし、結果、アットホームなお店として長年愛され続けているのです。

ということで、ほんとうの「おもてなし」とはお客様に対する一貫したマインドが具体的なカタチとなって反映されてこそ、です。逆に言えば、一貫性がなければほんとの「おもてなし」はできません。よって長年愛されるお店にはなり得ません。

自店にとって「お客様をもてなす」とはどいうことか? 狙わないサービスとはどういうことか? 一度じっくり話し合ってみてはいかがでしょう?

■今日のまとめ

『お客様をもてなす、を体現する。』

・自社、自店にとってお客様をおもてなしするとはどういうことか? をみんなで話し合う。
・話し合ったことをまとめ、サービスに反映する。

image by: Shutterstock.com

 

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【著者】 中久保 浩平 【発行周期】 毎週:火・木午前8:00発行※祝日の場合は翌日

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