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イラつくトランプ。北の裏で糸引く中国にようやく気づいた米国

先日、国際原子力機関は「北朝鮮は非核化に向けて一切動いていない」という旨の報告書を公開しましたが、なぜ金正恩は対応を先送りし続けることが可能なのでしょうか。無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんがその裏側を探ります。

北朝鮮は、核活動を停止していない!(IAEA))

6月の米朝首脳会談以降、北朝鮮が暴れることはなくなりました。しかし、「やはり」というべきか、核活動は停止してないようです。

北朝鮮、核活動停止の兆候なし IAEA報告

8/21(火)22:07配信

 

【AFP=時事】国際原子力機関(IAEA)は21日、北朝鮮が非核化に合意した後も、核活動停止のいかなる兆候も見せていないとする報告書を公表した。IAEAは報告書の中で、「北朝鮮は核計画を継続、進展させており、北朝鮮による関連の声明は深刻な懸念を引き起こしている」と指摘した。

北朝鮮が非核化に合意した後も、核活動停止のいかなる兆候も見せていない」そうです。

IAEAは、原子力の平和利用を促進し、一方で軍事利用を制限するために作られた国際機関。IAEAの発表には権威があります。懐疑的な人は、「IAEAは、アメリカの意向に沿った報告をしているのではないか?」と思うかもしれません。

IAEAは、北朝鮮を批判する一方で、イランについては、「核合意を守っている」としています。つまり、「イラン核合意からの離脱」を宣言したトランプ・アメリカに反対している。ですから、私はIAEAの報告は信憑性があると思います。

真実に近づくトランプ

この報告を受けてかどうかわかりませんが。ポンぺオ国務長官は訪朝を止めました

<訪朝中止>米国務長官「非核化前進見込めず」

毎日新聞 8/25(土)22:29配信

 

【ワシントン渋江千春、高本耕太】トランプ米大統領は24日、ポンペオ国務長官に対し、来週予定していた北朝鮮訪問を取りやめるよう指示したと、同日のツイッターで明らかにした。初の米朝首脳会談(6月12日)で合意した北朝鮮の非核化をめぐる米朝交渉が難航しており、ツイッターでも「現時点で大きな前進があるとは思えないため」と理由に掲げている。

「米朝交渉が難航しており、ツイッターでも『現時点で大きな前進があるとは思えないため』」だそうです。

ほとんどの人にとっては、「予想通りの展開」ですね。しかし、金正恩がウソついている」ことがわかるのも、6月に彼が、「完全な非核化を約束したからです。もし彼が何も約束していなければ、誰も「金はウソツキだ!」と非難できません。そして、トランプもイラついてきました

トランプ氏はこれまで集会などで北朝鮮との協議を「極めて順調に進んでいる」と繰り返し評価してきた。20日のロイター通信によるインタビューでも「北朝鮮が具体的な非核化措置を取っていると信じる」と述べていた。だが、この発言後も北朝鮮側から積極姿勢が示されなかったことから、評価を転換させ、不満を表明した。
(同上)

そして、トランプは、意外な方向に話を転換します。

また、トランプ氏は24日のツイッターで、北朝鮮の後ろ盾である中国との貿易戦争にも言及し、「我々が貿易の分野で中国に強硬な姿勢をとっていることから、中国はかつてのように(北朝鮮の)非核化プロセスに協力していない」と非難した。
(同上)

トランプさん、ようやく真実に近づいてきました。皆さん、

などという説を聞いたことがあるでしょう。しかしRPEは、「中国が北の核保有を望まないのはそのとおりだが、一方で中国は、『緩衝国家北朝鮮を守りたいのだ」と書きつづけてきました。トランプさん、ようやく「北が動かないのは中国がそうさせているのだ」ということに気がつきつつあるようです。

これから北問題はどうなるのでしょうか? 11月のアメリカ中間選挙後から動きはじめるのでしょう。私は、米朝共に約束を履行し、

がセットで実現することを望んでいます。しかし、私の望みが現実になる可能性は、高くありません。

image by: shutterstock

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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