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雇い主さん気をつけて。最低賃金を守らぬ会社に科される罰金刑

毎年改定される最低賃金ですが、経営者の皆さん、きちんと把握しているでしょうか。特に月給制の従業員に関しては、気がついたら最低賃金を下回っていた、なんてこともあるそうで……。今回の無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』では著者で社労士の飯田弘和さんが、最低賃金割れを調べるための方法を紹介しています。

御社の賃金は、最低賃金額を上回っていますか?

まもなく最低賃金額の改定の時期がやってきます。私が住む東京都では、10月1日から最低賃金額が時給985円となります。27円のUPです。

ここ数年は、毎年25円以上上昇し続けています。事業主の皆様にとっては大変なご苦労があると思います。それでも、最低賃金を下回ることはできません。たとえウッカリであっても、違法は違法です。時給で雇っている従業員については、わかりやすいので問題ないと思います。問題は、月給制の従業員についてです。支給賃金が最低賃金額を下回らないよう注意が必要です。

御社の従業員の賃金が最低賃金割れしていないか、この記事を読んで確認してみてください。

まず、最低賃金の対象に含めるものと含めないものをはっきりさせていきます。精皆勤手当通勤手当および家族手当については、最低賃金の対象には含めませんそれらを除いた賃金が最低賃金額を上回っている必要があります。

また、固定残業代や元々深夜割増分が含まれているような賃金の場合、それらは除外します。そして、月給制の場合には、上記の手当等を除いた賃金を、1ヶ月平均所定労働時間で割った金額が最低賃金額以上でなければなりません。

ちなみに、1ヶ月平均所定労働時間とは、365日366日から年間の所定休日日数を引いて年間の所定労働日数を算出しその日数に1日の所定労働時間数を掛けたものを12で割って出します。

具体的な計算例を1つ示します。

上記条件で、東京都内で働く場合に最低賃金額を上回っているか確認したいと思います。

この場合、固定残業代の¥50,000と通勤手当の¥15,000は対象から除きます。また、1ヶ月平均所定労働時間は170時間となります。したがって、

となり、この場合、東京都の最低賃金額985円を下回ることになります。ということは、最低賃金法違反であり、労基署から是正勧告を受けたり、50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

くれぐれも最低賃金額を下回らないよう、それぞれの地域の最低賃金をしっかり確認した上で、御社従業員の賃金額を確認してください。

以上を踏まえて、改めてお聞きします。

「御社の賃金は、最低賃金額を上回っていますか?」

image by: Shutterstock.com

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就業規則とは、入社から退社までの「ルールブック」であり、労使トラブルを未然に防ぐ「ワクチン」であり、効率的な事業運営や人材活用を行うための「マニュアル」でもあり、会社と従業員を固く結びつける「運命の赤い糸」でもあります。就業規則の条文一つ一つが、会社を大きく発展させることに寄与し、更には、働く人たちの幸せにも直結します。ぜひ、この場を通じて御社の就業規則をチェックしていただき、問題が生じそうな箇所は見直していただきたいと思います。現役社会保険労務士である私が、そのお手伝いをいたします。

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【著者】 飯田 弘和 【発行周期】 週刊

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