前回掲載の『マーケティングの定義を即答できぬコンサルを雇ってはいけない訳』では、マーケティングの定義について誤った認識を持っているコンサルタントが思いの外多いと指摘した、無料メルマガ『ビジネス真実践』の著者・中久保浩平さん。今回は、「即効性のあるノウハウを教えたがるコンサルを信用してはいけない理由」を記してくださっています。
即効性のあるノウハウを提唱するコンサルタント
僕のところに相談に来るクライアントの中には、「売上アップ」「集客アップ」を一瞬で叶えることに期待されてやって来る方もいらっしゃいました。いわゆる即効性のあるノウハウやテクニックを求めて来るのです。「今季の目標をクリアできなかったら、いよいよヤバイ」ということで、一気にお客さんが集まるチラシや広告を打ちたい、みたいな。
気持ちは理解できますが、クリアしたところでまたしばらくすると同じようにもがき苦しむことになった人達を少なからず見てきたので、こうした相談には乗ることはできないと丁重にお断りしています。しかし、「それでも…どうしても…」とい方の相談に乗ったことがあります。
そのクライアントは雑貨店を数店舗営んでいた社長でした。「背に腹は代えられない。なんとか集客をし売上なければ…」と社長が作ったチラシを見せて貰いました。とにかく、安売りや限定などで煽りまくっているものでした。言ってみれば「うちの店を助けてください」という独りよがりなチラシ。つまり、自己都合が透け透け。
恐らくそのチラシを打てばお客さんは来てくれる可能性はあるでしょう。しかし、波のようにワッーと来て、サァーッとひいていくというのは明らかでした。チラシを見れば商売の本質からズレまくっているのを感じるからです。おそらく商売の本質からズレていることに気がつかないまま商売をしてきたから背に腹は代えられないような状況になったのでしょう。
そんなことで、いくらチラシでお客さんを集めようが同じです。
そのことを伝え、一から立て直すよう根本的な問題点や課題点を抽出し、取り組むことを提言しても状況が状況だけに社長は聞く耳を持っくれませんでした。仕方がないといえばそれまでですが。
窮地に追い込まれて、即効性を求めてコンサルを探しても意味がありません。即効性のあるノウハウやテクニックなんてその辺にいくらでも転がっています。あるいは、ちょっとお金をかければなんとでもなります。でも、それでなんとかなったところで、お店、会社が良くなり、発展、成長していくということとは別なのです。
コンサルタントは、即効性のあるノウハウを提唱するのが仕事ではなく、クライアントの課題や悩みとなるものからその本質を見出し、そこに向かって改善や提案をし、実践してもらい、それに伴うアドバイスやサポートを差し上げるものです。その結果、良くなっかった業績が上向くのです。一過性の結果を出すためのノウハウを切り売りするという次元とは丸っきり違うのです。
結局、相談のあった雑貨店は倒産しました。それでも、しばらく経ってから、社長からメールが来ました。「あのときに言ってくれたことが、ようやくわかった」と。
上っ面だけでなんとかしようとしたり、窮地に立ってはじめてなんとかしなくちゃ…となって、即効性のあるものを求めると本来の商売の本質を見失います。しかも、皮肉なことにそれで結果を出せば出すほど、感覚が麻痺していき、やがて朽ち果てます。
ということで、即効性のあるノウハウやテクニックを切り売りしているコンサルタントのいうことを聞いたところで、役立つどころか、上手く行って味をしめれば後々苦しくなっていきます。十分にご注意を。
■今日のまとめ
「即効性のあるノウハウを提唱するコンサルタントの言うことを聞くと後々苦しむ」
- 即効性のあるノウハウなんかに頼らない体質にするには、何が必要か?どのような計画、取り組みが必要か?工夫できることは何か?考えまとめる。また社内で話し合う
image by: Shutterstock.com