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「年金貰えるか不安だし滞納しよう」が引き起こす恐ろしい結末

「将来的に破綻するのでは?」などという自己判断で、国民年金保険料を支払わない方も相当数いるようです。が、未納を続けるとどのような事態に陥るのか、正しく理解している方は少ないのではないでしょうか。今回の無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』では著者のhirokiさんが、「年金保険料滞納者の末路」を紹介しています。

最終的には財産差押さえ!国民年金保険料を滞納し続けた場合の末路

年金受給者の人が年金振込日になって、金額を見ると何だかやけに年金額が低くなってる!という相談は多いですが、その中でもちょっと今回のような事もあります。それは年金の差し押さえです。調べても特に年金が低下する原因が無い場合は、差し押さえが原因だったりする。ちょくちょくある事案。

税金や社会保険料を滞納しすぎると年金が差し押さえられてしまう事がある。だからそういう場合は、市役所や税務署に確認してくださいと言う。通常は財産差し押さえに至るまでにはかなりいろいろと役所からのシグナルがあったはずなので、何も心当たりが無いという事は無いと思う。

受給者の人はそうなんですが、現代は国民年金保険料の未納問題が騒がれたりしますよね。特に未納が問題になってきたのは平成10年頃からですね(平成16年頃は複数の国会議員の国民年金保険料未納もなんだか大きな問題になった)。

その平成10年の小渕恵三内閣の頃に赤字国債が乱発されて(日本経済の不況からの脱出を目指して大量に赤字国債を発行したが、日本の財政を急激に悪化させてしまった)、国の借金が300兆円を超えて先進国の中でも財政が最も最悪の状況となった。それで、「本当に年金は貰えるのか?」と不安になる人が増えてきて、その時に未納者がピークの300万人の大台を突破してしまった(今は150万人くらい)。

なお、未納というと全体的に捉えられがちですがあくまで未納というのは自営業者とかフリーターや失業者のような国民年金第1号被保険者の人今は1,500万人くらいの場合のみです。厚生年金や共済組合(共済は平成27年10月から厚生年金に統合)に勤めてるような国民年金第2号被保険者の人(大体4,300万人)は事業主が給与から強制的に厚生年金保険料を徴収するから、この人達の納付率は事業主が不正でもしない限り100%の納付率になる。

なお、毎回言ってますがどんな職業の人であろうとみんな国民年金に加入してます。もうそれは昭和61年4月からそうなっている。その国民年金(基礎年金)の上に厚生年金のような給与に比例して年金額が異なる年金を支給している。サラリーマンとかが、「俺は厚生年金に加入してるから国民年金には加入してない」っていうのは正確ではないです。

よく国民年金は納付率が60%しかない!年金は破綻してる!っていうおかしな情報は国民年金第1号被保険者の場合だけの話であって年金全体を見ておらず、単なる不安を煽るだけのものとなっている。

公的年金制度全体の状況(厚生労働省)
●「国民の4割が年金を払ってない、は本当なのか? 年金のプロが検証」(hirokiまぐまぐニュース参考記事)

で、話が横にそれましたが…この国民年金第1号被保険者が支払う国民年金保険料ですが、滞納が続くと財産が差押さえされます。しかしこちらの差し押さえは滞納金額以上に深刻な事態を招く恐れがある。特にちゃんとそれなりに収入がある人。

20歳から60歳までは国民年金にはどんな職業の人であれ強制加入の状態ではありますが、国民年金第1号被保険者の人が支払う国民年金保険料については当月の保険料は翌月末までが納付期限となっています(例えば3月分は翌月4月末までの納付期限)。

でも滞納したとしても時効の2年以内に納めればいいよねって話はよくありますが、本来の納付期限が翌月末なので翌月末を過ぎて滞納を放っておくと催告状が届く。その後、特別催告状というのが届く。更にそのまま放っておくと、次は最終催告状というのが届く。この最終催告状の時の期限までに納付すれば差し押さえはされない。これが来たらとにかく年金事務所や市役所に何らかの行動を起こすべきギリギリの時点。できれば特別催告状の時点で年金事務所か市役所に相談すべき。何も行動しないのが一番やってはいけない。

納付が無いなら次は督促状が来て更に無視すると、いよいよ銀行等に対して預金口座とかの差し押さえ可能な財産の有無の調査に入り高額な延滞金(年利14.6%)の支払いも発生してくる。差し押さえに入る時は差押予告通知書が届く。そして最後は債権差押通知書が来て、銀行口座に対して差し押さえされる。国税徴収法により強制徴収される。特に現在は所得収入から経費とか引いたやつが300万円以上で7ヶ月以上の滞納期間がある人の場合は差し押さえが強化されてる。

ちなみに滞納していた保険料分だけが銀行口座から差し押さえというものではないです。例えば20万円滞納していたから、銀行口座500万円から滞納分差し引いて480万円になるわけじゃない。銀行口座残高全てが差し押さえられるから一旦口座が凍結される。お金を差し押さえというか、債権を差し押さえるからそうなる。

銀行にお金を預けてるというのは、銀行に対して債権があるって事。債権というのは貸したお金を返してもらえる権利の事。銀行に預けたらお金引き出して返してもらえますよね。まあ、預金者のお金は企業とかに融資されてますが…。

その後、滞納分の保険料と延滞金年利14.6%分が残高から引かれて銀行口座に返還される。だから「国民年金保険料なんて絶対支払わねーよo(`ω´ )oプン!」って強がってても、差し押さえで強制徴収される。高額な延滞金と共に。

しかもお金が強制徴収されるというだけでなく、もっと深刻な事は経済的信用を失いかねないという事。差し押さえされると今取引してる銀行だけでなく全ての銀行との取引が出来なくなる場合がある。

いやもう…差し押さえされるような人じゃ、銀行側から見たらお金を貸してもちゃんと返してくれない人とみなしますよね。銀行としてはそんな危ない人にお金貸したくない。特に経営者にとっては銀行と取引できないというのは致命的な事になりかねないので、国民年金保険料の未納には特に気を付けたい。

支払いが困難な場合は保険料免除制度があるので市役所や年金事務所に相談しましょう。何も支払おうとする行動をしない事が一番危険です。

追記

国民年金保険料は世帯主、配偶者も連帯して支払う義務があるので、これらの人が滞納してると差し押さえの対象になる。また、本人自身の国民年金保険料を滞納し続けた結果、支払い連帯義務のある世帯主や配偶者の財産が差し押さえられたら家族間の深刻なトラブルになってしまう事もある。

年金アドバイザーhirokiこの著者の記事一覧

佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
年金は国民全員に直結するテーマにもかかわらず、とても難解でわかりにくい制度のためその内容や仕組みを一般の方々が学ぶ機会や知る機会がなかなかありません。
私のメルマガの場合、よく事例や数字を多用します。
なぜなら年金の用語は非常に難しく、用語や条文を並べ立ててもイメージが掴みづらいからです。
このメルマガを読んでいれば年金制度の全体の流れが掴めると同時に、事例による年金計算や考え方、年金の歴史や背景なども盛り込みますので気軽に楽しみながら読んでいただけたらと思います。

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【著者】 年金アドバイザーhiroki 【発行周期】 不定期配信

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