オンライン授業により、不登校の子が久しぶりに学校の授業に参加できたというケースが多くあったようです。しかし、それがその後の登校につながるとは限らず、心配が続く親御さんもいます。メルマガ『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』著者の柳川由紀さんは、コロナの経験を経て、オンラインの学習に抵抗がなくなれば、自らの意思で学習を進められ、不登校による学力不足という心配はむしろなくなると予想。親は「環境に適応する力」「やりぬく力」をつけるためのサポートが必要だとアドバイスしています。
コロナ後の家庭教育は激変!?
Question
コロナでの在宅勤務中は、不登校の娘と一緒にいられたため、様子が分かりましたし、実のところ、不登校の娘は、オンラインの授業だったら参加ができたのです。徐々に学校が再開され、来月からは本格的にコロナ前の通学に戻ってしまいます。娘は相変わらずの不登校なので、「勉強の遅れ」「学力不足」が心配です。(中学3年女子のお母様より)
柳川さんからの回答
コロナ禍で、不登校だったお子様たちがオンラインでの授業には参加できた、という声が多く聞かれました。今後、学校側もオンラインとのハイブリッド授業を考えるでしょう。
また社会は、コロナ禍で新しい生き方や働き方の重要性を再認識したはずです。アフターコロナに生きる子供たちに必要なものは、「従来の学力」とは違ったものになります。今後を見据えて、今の段階で親としてできることを考えましょう。
1.「ビフォーコロナ」には戻らない!
コロナ禍で、オンライン授業をうまく展開した自治体や学校では、「アフターコロナ」も「ビフォーコロナ」の学びには戻らずに、オンライン授業のメリットを取り入れた学びを続ける可能性があります。欠席する場合や、引きこもり、災害といった様々な理由で登校できない場合も学校外から学ぶことができるからです。オンラインとオフラインのハイブリッド授業は、新しい教育の形で続いていくと予想されます。
今回のコロナ禍でコンテンツの棲み分けがはっきりしました。今後学校には、「人が集まるからこそ意味がある授業」だけが残ります。「先生が話し、生徒は聞くだけ」という授業や、ドリルやミニテストは、PCやタブレットでオンライン化されます。また、そうしたドリルやミニテストも各生徒の習熟度に合わせ、カスタマイズされた出題になり、これまで以上にきめ細やかなフォローができるでしょう。
2.独自の学び
コロナ禍でオンライン化が進んだことで、ネット環境が整い、自分の意思で高度な学びが簡単にできる、ということが明らかになりました。つまり、「通っている学校」だけが学びの場ではないということです。お嬢様の「勉強の遅れ」や「学力不足」という問題は、オンライン化が進んだからこそ、解決できるものになった、と言えるかもしれません。
3.今後求められる力
今回のコロナ禍で、子供が身に着けておくべき大切な「力」が見えてきました。一つは「環境に適応する力」、もう一つは「やりぬく力」です。変化の激しい時代を生きるこれからの子供たちは、環境の変化にスムーズに適応することが求められます。
今回、学び方、家族との過ごし方、働き方などすべてが一変しました。学びという面で見ると、学校に一任し、言われたことを学習している子供と、家庭で自ら自習に励む子供とではコロナ明けには、大きな「学力差」が出ます。
また、オンライン環境がないから、と諦めてしまう子供と、ないからこそ、録画したものを借りたり、ソーシャルディスタンスを保ちながら友人宅で一緒に受講させてもらう、など試行錯誤しつつ何とかして受講しよう、と諦めなかった子供とでは、やはり、その後に大きな「やりぬく力の差」が出ます。
親は子供に「環境に適応する力」「やりぬく力」をつけるようにサポートしましょう。
家庭教育アドバイス…「やりぬく力をつけるには」
アメリカペンシルベニア大学のアンジェラ・ダックワース教授は、やりぬく力をつけるには、「成長思考」を持ち、「楽観的に考える」ことが大切だと仰っています。
つまり、自分はいつも成長の途中だからこそ、まだできていないだけなんだ、という考えで失敗を乗り越え、達成するまで続けるということです。そして、意識して悲観的な考えをやめ、物事を楽観的に捉えるトレーニングをする、ということです。その結果、粘り強くやりぬく力が培われ、やりぬくからこそ、いつのまにか達成できるのです。
参考:『やり抜く力 GRIT(グリット) 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』(アンジェラ・ダックワース著、神崎朗子訳/ダイヤモンド社)
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